偲ぶ[語句情報] » 偲ぶ

「偲ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

偲ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
しているが故でもある)。その場合私は、比喩と讃美とによってわずかにこの尊い生活を偲ぶより外に道がないだろう。 本能という言葉を用いるに当って私は多少の誤解を恐....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
息して涼風に浴するの機会がなく、年ごとに繁ってゆく青い蔭をながめて、昔年の涼味を偲ぶに過ぎなかったが、わが国に帝国議会というものが初めて開かれても、ここの柳は伐....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
宋茘裳も国初有名の詩人である。彼は幼いときに母をうしなったので、母のおもかげを偲ぶごとに涙が流れた。 呉門のなにがしという男がみずから言うには、それには術が....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
、こう冷い湿ぽい裡から、暗い白粉だの、赤い油だのが、何となく匂って来ると――昔を偲ぶ、――いや、宿のなごりとは申す条、通り筋に、あらわな売色のかかる体裁は大に風....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
代りとして入水された時の姫のお心持ちはどんなであったろう……。』祠前に額いて昔を偲ぶ時に、私の両眼からは熱い涙がとめどなく流れ落ちるのでした。 ところがいつか....
亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
て、隅田の情趣になくてはならない屋形船も乗る人の気分も変り、型も改まって全く昔を偲ぶよすがもない。この屋形船は大名遊びや町人の札差しが招宴に利用したもので、大抵....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
ついにその二人は、島の外にある小島に隔てられて、凋んだ花の香りを、絶海の孤島から偲ぶ身になったのである。 しかし、この孤島の所在は、探鯨の死と同時に国替えなど....
キド効果」より 著者:海野十三
と通りや二た通りの苦心ではなかった。……」 そこで木戸博士は、研究当時の苦心を偲ぶかのようにジッと瞑目し、しばし手を額の上に置かれたのだった。 「実に骨を折っ....
人間山中貞雄」より 著者:伊丹万作
くところがあつたかもしれない。しかしかかる駄筆を弄したのも一にそれによつて山中を偲ぶよすがともなろうかと思つたからである。(十月十八日)(『シナリオ』昭和十三年....
式部小路」より 著者:泉鏡花
無意識にうたいつるる唱歌の声の、その身その身も我知らず、 身の行末をつくづくと、偲ぶ鎧の袖の上に、 散るは涙か、はた露か、 より低く、より悲しげに、よりあわれ....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
終った人であった。 二葉亭の古い日記から二節を引いて以て二葉亭の面影と性格とを偲ぶの料としよう。 「この世を棄てんとおもひたる人にあらねばこの世の真の価値は知....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
分に浸らなければその画を身読する事は出来ないが、今ではバラックの仮住居で、故人を偲ぶ旧観の片影をだも認められない。 寒月の名は西鶴の発見者及び元禄文学の復興者....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
。緑雨の手紙は大抵散逸したが、不思議にこの一本だけが残ってるから爰に掲げて緑雨を偲ぶたねとしよう。 言文一致ニカギル、コウ思附イタ上ハ、基礎ヤ標準ヤニ頓着スルマ....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
た漢文|崩しやあるいは舌足らずの直訳やあるいは半熟の馬琴調であって、西文の面影を偲ぶに足らないは魯か邦文としてもまた読むに堪えないものばかりだった。この非芸術的....
四十年前」より 著者:内田魯庵
く床の間に飾られ、弓術の如く食後の腹ごなしに翫ばれ、烏帽子直垂の如く虫干に昔しを偲ぶ種子となる外はない。津浪の如くに押寄せる外来思想は如何なる高い防波堤をも越し....