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「傍目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

傍目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二つの道」より 著者:有島武郎
ばしば悲壮な努力に眼を張って驚嘆する。それは二つの道のうち一つだけを選み取って、傍目《わきめ》もふらず進み行く人の努力である。かの赤き道を胸張りひろげて走る人、....
妖術」より 著者:泉鏡花
子、輪珠数などが落ちた形になって、人出の混雑を思わせる、仲見世の敷石にかかって、傍目も触らないで、御堂の方へ。 そこらの豆屋で、豆をばちばちと焼く匂が、雨を蒸....
朱日記」より 著者:泉鏡花
たと思え。 はじめて夢が覚めた気になって、寒いぞ、今度は。がちがち震えながら、傍目も触らず、坊主が立ったと思う処は爪立足をして、それから、お前、前の峰を引掻く....
春昼」より 著者:泉鏡花
御本人、そうとも口へ出して言われませなんだが、それから何んとなく鬱ぎ込むのが、傍目にも見えたであります。 四、五日、引籠ってござったほどで。 後に、何も彼....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
へ向いて、そこへ婦の魂を据える、鏡です。 丑童子、斑の御神、と、一心に念じて、傍目も触らないで、瞻めていると、その丑の年丑の月丑の日の……丑時になると、その鏡....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
面影は、その時の見覚えで。 出窓の硝子越に、娘の方が往かえりの節などは、一体|傍目も触らないで、竹をこぼるる露のごとく、すいすいと歩行く振、打水にも褄のなずま....
南地心中」より 著者:泉鏡花
が、しゃんと来いの男衆だけ、確に引受けられた酔漢に似て、擦合い、行違う人の中を、傍目も触らず饒舌るのであった。 「時に、それについて、」 「あの、別嬪の事でしょ....
露肆」より 著者:泉鏡花
たように黙っているので。 霧の中に笑の虹が、溌と渡った時も、独り莞爾ともせず、傍目も触らず、同じようにフッと吹く。 カタリと転がる。 「大福、大福、大福かい....
黒百合」より 著者:泉鏡花
「どうして、」 体は大いが、小児のように飛着いて纏わる猟犬のあたまを抑えた時、傍目も触らないで玄関の方へ一文字に行こうとする滝太郎を見着けた。 「おや、」 ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
の胸に冷りとする。や、これがために、若衆は清涼剤を飲んだように気が変って、今まで傍目も触らずにいました蟇の虹を外して、フト前途を見る、と何と、一軒家の門を離れた....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
る。あとから、背嚢、荷銃したのを、一隊十七人まで数えました。 うろつく者には、傍目も触らず、粛然として廊下を長く打って、通って、広い講堂が、青白く映って開く、....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
を駆って、われと我が命を断たしめるのは、いかなる深刻な懊悩、いかなる精神的苦痛、傍目には知れぬ失意、劇しい苦悶がその動機となっての結果であろうか? こうした場合....
錦紗」より 著者:犬田卯
から誰にも売らないで……」と念を押しておいた例のレーヨン錦紗のために、二週日以来傍目もふらずにかせぎためた虎の子だったのである。実際彼女はその五円のためには見栄....
三枚続」より 著者:泉鏡花
愛吉は膝の上。 「読みますぜ。」 お夏は前髪の下へ、美しい指を一本、珠を狙って傍目も触らず、 「さあ、」 「しっかりおやんなさい。」 「ああ、」と真面目である....
活人形」より 著者:泉鏡花
は呼吸を殺してその様を窺えば、美人は何やらむ深く思い沈みたる風情にて、頭を低れて傍目もふらず、今泰助の入りたることは少しも心附かざりき。額襟許清らに見え、色いと....