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「傍近〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

傍近の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
来て、恐ろしさの余り気が遠くなりそうになりました。そうしてその海の女王が、王様の傍近く進み寄って、女王の冠を戴いているのを見ると、さしもの大広間が大勢の人々と共....
西湖の屍人」より 著者:海野十三
た。 漢青年は、幻影を自由に楽しんだ。殊に彼にとって好ましかったのは、マリ子を傍近く呼んで、他愛のない話をしたり、その果には思切った戯れを演じてみるのだったが....
姉川合戦」より 著者:菊池寛
みを受けながら、遠藤|喜右衛門が能く取りなしけるに依て、久政も漸く思返し、此頃は傍近く出勤しけるにより、今日評定の席へも差加へられたり。然るに長政の軍慮を承り、....
小田原陣」より 著者:菊池寛
囲んだが、懸軍百里の遠征では、糧続かず人和せず、どうにも出来なかった。ただ城濠の傍近く馬から下り、城兵に鉄砲の一斉射撃を受けながら、悠々としてお茶を三杯飲んだと....
牡丹灯記」より 著者:田中貢太郎
、翌日玄妙観へ出かけて行った。魏法師は喬生の顔を遠くのほうからじっと見ていたが、傍近くへ行くと、 「えらい妖気だ、なんと思ってここへ来た」 喬生は驚いた。そし....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
、先刻|遁げ込んだばかりの、白河内岳の頂上に立って、四方を見廻した、南の方、直ぐ傍近く間の岳(赤石山脈)と、悪沢岳が峻しく聳えて、赤石山がその背後から、顔を出し....
奇賊は支払う」より 著者:海野十三
を、私は働かされましたよ。考えてもみて下さい、女に限りいいつけられる雑用を美女の傍近くで三日間相勤めたんですからね。身は朽木にあらずです。いや全く幾度か窒息しそ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
紋とおっしゃるのは……」 女はこころもち身を引きかげんにして、この時はじめて、傍近く引き寄せた燭台の存在が無意味でないことを知りました。竜之助の面《かお》と、....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
して、巌骨霜を帯びて屹然として聳ゆるが如く、凜として居丈高に坐った風情は、容易に傍近く寄り難いありさまである。然し其姿勢にも似ず、顔だけは不思議にもにッたりと笑....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
」 「さあ、あけますよ」 「よし」 百蔵は、行燈を引きずって来て、この玉手箱の傍近いところへ持寄せ、勿体《もったい》らしく、息をはずませて蓋《ふた》を払って見....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
がよい」 「それでは、御免を蒙りまして」 寅吉と呼ばれた棟梁らしい男は、駒井の傍近く膝行《にじ》り寄って、頭を下げました。 「相変らず壮健《たっしゃ》で結構だ....
狸と俳人」より 著者:田中貢太郎
日の後のことであった。一日の仕事を終った村人の一人が家路に急ぎながら、庄造の墓の傍近くに来かかった時、其の墓の前に、蹲っている女の姿が眼に注いた。其の女は美しい....
見えざる人」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
りの手紙を読もうとした時に、街路に彼女たった一人という事はないはずだ。その婦人に傍近く誰か居ったに違いない。彼こそ心理的に見えざる人に違いない」 「なぜ彼女の近....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
、誰も気が着かなかった。 だが、帆の破れ目からチラチラ見るくらいでは物足りぬ。傍近く見もし又語りもしたいので。 「宗匠、この胴の間は乗心地は好いに違いないが、....
牡丹灯籠 牡丹灯記」より 著者:田中貢太郎
になって玄妙観へ出かけて往った。魏法師は喬生の顔を遠くの方からじっと見ていたが、傍近くなると、 「えらい妖気だ、なんと思ってここへ来た」 喬生は驚いた。そして....