備え[語句情報] »
備え
「備え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
備えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
もつかない声を、たれとも知らずわっと上げると、始めのひるんだけしきにも似ず一度に
備えを立て直して、猛然として殺到する。沙金《しゃきん》も、今は弓にたかうすびょう....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
どの経文にも書いてない。勿論|竜樹《りゅうじゅ》や馬鳴《めみょう》も、人並の鼻を
備えた菩薩《ぼさつ》である。内供は、震旦《しんたん》の話の序《ついで》に蜀漢《し....
「路上」より 著者:芥川竜之介
らはいって来てしまった。
L教授は哲学者と云うよりも、むしろ実業家らしい風采を
備えていた。それがその日のように、流行の茶の背広を一着して、金の指環《ゆびわ》を....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
られ、「さてはその蝙蝠《かわほり》の翼、山羊の蹄、蛇《くちなわ》の鱗《うろこ》を
備えしものが、目にこそ見えね、わが耳のほとりに蹲《うずくま》りて、淫《みだ》らな....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
も越中守自身、麻上下《あさがみしも》に着換えてから、八幡大菩薩に、神酒《みき》を
備えるのが慣例になっている。ところが、その日は、小姓《こしょう》の手から神酒《み....
「或る女」より 著者:有島武郎
|隅《ぐう》の小さな卓を囲んで、その卓の上にはウイスキー用の小さなコップと水とが
備えられていた。いちばんいい香《にお》いの煙草《たばこ》の煙もそこから漂って来た....
「或る女」より 著者:有島武郎
そはなかなか容易ならざる反抗が待ちうけているとは十二|分《ぶん》に覚悟して、その
備えをしておいたつもりではいたけれども、古藤の口うらから考えてみると面とぶつかっ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
だけにお前の身売りをすると、そこに実質のない悪魔というものが、さも厳めしい実質を
備えたらしく立ち現われるのだ。又お前が肉から強いて引き離した霊だけに身売りをする....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
問に逢着する。こういう場合には、たいてい、世界の起源について何かしら人間的な形を
備えた考え方をしているのが通例である。すなわち、世界は何かの人間的な『者』によっ....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
のではないと確信する。今日の世界の大勢は各国をして、その最高能率を発揮して戦争に
備えるために、否が応でも、また安全性を犠牲にしても、統制主義にならざるを得ざらし....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の懐剣を現在とても大切に所持して居ります。そして修行の時にはいつも之を御鏡の前へ
備えることにして居るのでございます。 これなどは、一|段も二|段も上の方から御....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
だと思っている。洋の東西、古今を問わず、卑しくも私の趣味性を唆るものあらば座右に
備えて悠々自適し、興来って新古の壱巻をも繙けば、河鹿笛もならし、朝鮮太鼓も打つ、....
「土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
の風塵から汚されずに存在する郷土的玩具や人形には、一種言うべからざる簡素なる美を
備え、またこれを人文研究史上から観て、頗る有意義なるものが多いのであるが、近来交....
「豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
った事がある。その時は糸織の羽織か何か著て、髪を油で光らせて、甚大家らしい風格を
備えていた。それから新思潮が発刊して一年たった年の秋、どこかで皆が集まって、飯を....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
多少文才のあることを要する。悲しいかな、著者は自ら顧みて、決してこの二つの条件を
備えておるとは思わない。ただ最初の試みをするのみである。 科学者の中で、特にフ....