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「傾く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

傾くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
。彼は、みずから欺く弱さをしかりながら、しかもなお沙金《しゃきん》の心が再び彼に傾く日を、夢のように胸に描いた。自分でなかったなら、たれがこの馬をこの場合、奪う....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
のかしら、来ないのかしら。よもや来ない事はあるまいと思うけれど、もうかれこれ月が傾くのに、足音もしない所を見ると、急に気でも変ったではあるまいか。もしひょっとし....
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
》の中に、自分の不幸を上天に訴えながら、あの銅《あかがね》のような太陽が西の空に傾くまで、日一日馬の上でゆられ通したのに相違ない。が、この平地が次第に緩《ゆる》....
或る女」より 著者:有島武郎
一種の奇怪な響きが、舷《ふなべり》をめぐって叫ばれていた。葉子は前後左右に大きく傾く甲板の上を、傾くままに身を斜めにしてからく重心を取りながら、よろけよろけブリ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
取って、 「刺身かい。」 「そうね、」 とお蔦は、半纏の袖を合わせて、ちょっと傾く。 「焼きねえ、昨日も刺身だったから……」 と腰を入れると腕の冴、颯と吹い....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
関する諸法則の知識の導入などを考慮してみれば、天秤は当然最後の一世紀の勝利の方に傾くのである。もっともこのような比較をするには我々は余りに時代が近すぎる。そのた....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
州の連合と米州との対立となり、ソ連は巧みに両者の間に立ちつつも、大体は米州に多く傾くように判断されますが、われわれの常識から見れば結局、二つの代表的勢力となるも....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
もって四辺を払わせて通るのです。得意思うべしではないのですか。 僧都 (頻に頭を傾く。) 公子 引廻しと聞けば、恥を見せるのでしょう、苦痛を与えるのであろう。槍....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
かを知っているような気がしたのである。 美女は褄を深う居直って、蚊帳を透して打傾く。 萌黄が迫って、その衣の色を薄く包んだ。 「この方の、母さんのお知己、明....
女客」より 著者:泉鏡花
る瀬はなかったんですよ。」 「心細いじゃありませんか、ねえ。」 と寂しそうに打傾く、面に映って、頸をかけ、黒繻子の襟に障子の影、薄ら蒼く見えるまで、戸外は月の....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
そ違うが、見世ものの囃子と同じく、気をそそって人を寄せる、鳴ものらしく思うから、傾く耳の誘わるる、寂しい横町へ電車を離れた。 向って日南の、背後は水で、思いが....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
血潮は消えて、音するばかり旭の影。波を渡るか、宙を行くか、白き鵞鳥の片翼、朝風に傾く帆かげや、白衣、水紅色、水浅葱、ちらちらと波に漏れて、夫人と廉平が彳める、岩....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
の上へ、肩のあたりが露れると、潮たれ髪はなお乾かず、動くに連れて柔かにがっくりと傾くのを、軽く振って、根を圧えて、 「これを着ましょうかねえ。」 「洗濯をしたば....
活人形」より 著者:泉鏡花
。まず鎌倉に立越えてと、やがて時刻になりしかば、終汽車に乗り込みて、日影ようよう傾く頃、相州鎌倉に到着なし、滑川の辺なる八橋楼に投宿して、他所ながら赤城の様子を....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
の諸事情に依って戦争に於ける武力の価値は低く、持久戦争中でも消耗戦略の機動主義に傾くは自然と云うべきである。 当時の戦争の景況を簡単に説明する事にしよう。 ....