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傾斜
「傾斜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
傾斜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「卑怯者」より 著者:有島武郎
ん》がしこたましまってあって、抜きさしのできる三段の棚の上に乗せられたその瓶が、
傾斜になった箱を一気にすべり落ちようとするので、扉はことのほかの重みに押されてい....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
し。 かかるほどに車体は一上一下と動揺して、あるいは頓挫《とんざ》し、あるいは
傾斜し、ただこれ風の落ち葉を捲《ま》き、早瀬の浮き木を弄《もてあそ》ぶに異ならず....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
。 三方林で囲まれ、南が開いて余所《よそ》の畑とつづいている。北が高く南が低い
傾斜《こうばい》になっている。母の推察通り、棉は末にはなっているが、風が吹いたら....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
といろいろな光彩でちりばめられた無数の星々の間に、冬の空の誇りなる参宿が、微妙な
傾斜をもって三つならんで、何かの凶徴のようにひときわぎらぎらと光っていた。星は語....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ている。その北側の真ん中に入口があって、そこから長い、狭い、水平線に対して三〇度
傾斜した通路に入る。従ってこの通路はほとんど地球の回転軸と並行していることになる....
「河口湖」より 著者:伊藤左千夫
おいたたぬ、ゴツゴツたる石の原を半里あまりあるいた。富士はほとんど雲におおわれて
傾斜|遠長きすそばかり見わたされる。目のさきからじきに山すそに連続した、三、四里....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
、水をしこたま飲もうと心がけていた。 霞沢岳の途中 腰のずれそうな
傾斜のはい松の中に腰を下ろした。まっすぐな谷が、梓川が糸のように見える上高地の平....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
っと三人が揃って、杉の森をぬけて谷川の上に架した釣橋をゆれながら渡ると大変な急な
傾斜が頭の上を圧している。その上に雪が柔い。ひどい目に会いそうだと思いながら人夫....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
捻じるように振向くと…… この三角畑の裾の樹立から、広野の中に、もう一条、畷と
傾斜面の広き刈田を隔てて、突当りの山裾へ畦道があるのが屏風のごとく連った、長く、....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
、裸|蝋燭の灯が、静寂な風に、ちらちらする。 榎を潜った彼方の崖は、すぐに、大
傾斜の窪地になって、山の裙まで、寺の裏庭を取りまわして一谷一面の卵塔である。 ....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
聞紙にあったらしい、石油の※がしみついていた。 三人はトロッコを押しながら緩い
傾斜を登って行った。良平は車に手をかけていても、心は外の事を考えていた。 その....
「取舵」より 著者:泉鏡花
米穀なれば、機関室も甲板の空処も、隙間なきまでに積みたる重量のために、船体はやや
傾斜を来して、吃水は著しく深くなりぬ。 俵はほとんど船室の出入口をも密封したれ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
な、もみじの丘へ出た時であった。 向ううらに海のような、一面鏡の池がある。その
傾斜面に据えた瀬戸物の床几に腰をかけて、葉色の明りはありながら、茂りの中に、薄暗....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
一夜をここで明かして、翌日は朝から大変な雨であった。とても出られない。一日中、
傾斜した岩の下で、小さくなっていた。雨が屋根裏――即ちこの岩――を伝って、ポタポ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
。その危険をふせぐために、両足の指先へ力をこめて登って行かねばならぬ。少しく急な
傾斜を持つところになると、眼前へあらわれてくる一つ一つの樹幹のうち最も手頃と速断....