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傾注
「傾注〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
傾注の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
禄の回顧とを罷《や》めて全精神を明日の考察――我々自身の時代に対する組織的考察に
傾注《けいちゅう》しなければならぬのである。 五 明日の考察! これ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
細な犯罪現象の個々一つ一つにさえ、影を絶たないあの大魔力に、事件の動向は遮二無二
傾注されてゆくのではないか。熊城は顔面を怒張させて、しばらくキリキリ歯噛みをして....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
それを属領化しなければならないようになっている。そのために、あらゆる力を、そこに
傾注している。 福隆火柴公司の工人達は、その後兵士と握手して立ちあがった。社宅....
「十五年間」より 著者:太宰治
噛んでふくめるように説明してお聞かせすればいいのかも知れないが、そんな事に努力を
傾注していると、君たちからイヤな色気を示されたりして、太宰もサロンに迎えられ、む....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
俗に受け入れられ易い仕事に関係していられたならば……そうしてあれだけの精彩努力を
傾注されたならば、翁は優に一代の偉人、豪傑もしくは末世の聖賢として名を青史に垂れ....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
述はしないとのことであれば(氏はいま四十三歳である)、われらが氏の沈痛なる思索を
傾注せられた結果として、深遠な思想の盛り溢れた重々しき第二の著書を手にするときは....
「臨時急行列車の紛失」より 著者:新青年編輯局
って会社に忠告し、もって、会社が該引込線と、その終点に働く労働者等につき、全力を
傾注して探査せんことを希望するものなり云々。』 この推測は、さすがにこうした事....
「地上」より 著者:島田清次郎
することが出来た。それは若き平一郎にとっての僅かの慰みであった。平一郎は少年期の
傾注的な熱情と信愛をもって『底潮』の一団に交わったのである。お光は平一郎の急に多....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
してない。 まず、彼は売薬業者の眼のかたきである医者征伐を標榜し、これに全力を
傾注した。「眼中仁なき悪徳医師」「誤診と投薬」「薬価二十倍」「医者は病気の伝播者....
「巡回書庫と町村図書館と」より 著者:佐野友三郎
書館を新設したるもの二十箇村に達し、ミネソタ州においては、巡回書庫の施設に全力を
傾注したる結果、五箇年内に、三十五館より七十館に倍加せり。この径路は大抵、一様な....
「智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
んな事でも自分一人の胸に収めて唯黙って進んだ。そして自己の最高の能力をつねに物に
傾注した。芸術に関する事は素より、一般教養のこと、精神上の諸問題についても突きつ....
「妖怪談」より 著者:井上円了
とがございます。例えば、目に力を注げば耳の感覚は薄らぎ、耳に音声を聞き、いよいよ
傾注すれば目に物を見ざるがごとく、その感覚力には分量のあるものでありまして、もの....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
は全く訪客を謝絶し、家人が室に入るをすら禁じ、眼が血走り顔色が蒼くなるまで全力を
傾注し、千鍜万練して日に幾十遍となく書き更めた。それ故とかくに毎日の締切時間を遅....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
が口にしたと思いますが、鎌倉から東京へ帰り、間もなく帰郷して例の関係事業に努力を
傾注したのでしたが、慣れぬ商法の失敗がちで、つい情にひかされやすい私の性格から、....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
り、覇道文明の発達せる西洋が本場となったのは当然である。 近時の日本人は全力を
傾注して西洋文明を学び取り摂取し、既にその能力を示した。しかし反面西洋覇道文明の....