優婉[語句情報] »
優婉
「優婉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
優婉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
美貌《びぼう》とに充分の自信を持つ葉子であったら、毛の末ほども自分を失う事なく、
優婉《ゆうえん》に円滑に男を自分のかけた陥穽《わな》の中におとしいれて、自縄自縛....
「芭蕉について」より 著者:宮本百合子
雪のあした哉 住つかぬ旅の心や置炬燵 うき我をさびしがらせよかんこ鳥 雄大、
優婉な趣は、 辛崎の松は花より朧《おぼろ》にて 五月雨にかくれぬものや瀬田の橋....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ゃ都の島原できさらぎという傾城《けいせい》でござんすわいな」の名文句から思い出の
優婉《ゆうえん》な想像が全く破れる。涙ながらに「日本色里の総本家」という昔の誇り....
「衣服と婦人の生活」より 著者:宮本百合子
ろう。源氏物語の中には貴族の婦人たちが、自分で縫物をやっている描写はないと思う。
優婉な紫の上が光君と一緒に、周囲の女性たちにおくる反物を選んでいるところはあるけ....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
は恐多い。ただ、西の方遥に、山城国、浄瑠璃寺、吉祥天のお写真に似させ給う。白理、
優婉、明麗なる、お十八、九ばかりの、略人だけの坐像である。 ト手をついて対した....
「追慕」より 著者:宮本百合子
く。 凝《じっ》と坐って耳を傾けると、目の下の湖では淡黄色い細砂に当って溶ける
優婉な漣の音が、揺れる楊柳の葉触れにつれて、軽く、柔く、サ……、サ……、と通って....
「C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
ぎると、まだ夜と昼との影を投じ合った鳩羽色の湖面を滑って、或時は有頂天な、或時は
優婉な舞踏曲が、漣の畳句《リフレーヌ》を伴れて聞え始めます。すると先刻までは何処....
「一九二五年より一九二七年一月まで」より 著者:宮本百合子
姿、一寸情なかった。 〔欄外に〕 尾花、紫苑。日が沈んで夕方暗くなる一時前の
優婉さ、うき立つ秋草の色。 工場の女と犬 十月雨の日 女工 「マ....
「或る日」より 著者:宮本百合子
の胸にはびこった。 馴れない者同士と云うより異った居心地わるさがあった。千代の
優婉らしい挙止の裡にはさほ子が圧迫を感じる底力があった。千代の方は一向平然として....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
。声の響のつよさが分るような、面白くねえという顔した胸をはだけた爺よ。それであの
優婉なマヤ(覚えていらっしゃるかしら、白い着衣で長く垂れた黒い髪した顔の小さい女....
「地上」より 著者:島田清次郎
く、鼓の音が厳粛に引きしめ、制えつけ、緊め上げつつ、音曲は悲壮に高められて行く。
優婉な三味の音が、静かな夜気に顫えて人々を甘美な夢に引き入れようとするのを、蔽わ....
「茶屋知らず物語」より 著者:岡本かの子
中とは思えぬ清寂な一とき。木立を距てた離れ座敷から、もう客が来ているものと見え、
優婉な声で投げ節が聞えて来ます。 渡りくらべて世の中見れば阿波の鳴門に波もなし....
「黒岩涙香のこと」より 著者:平林初之輔
だ人は一様に記憶しているであろうか、彼の筆力には不思議な魅力がある。粗雑なようで
優婉《ゆうえん》であり、ごちごちしているようで精緻を極め一度ページを開いたが最後....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
れへ通した。 真中に例の卓子台。で欄間に三枚つづきの錦画が額にして掛けてある。
優婉、娜麗、白膩、皓体、乳も胸も、滑かに濡々として、まつわる緋縮緬、流れる水浅黄....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
釈をしたように思ったからである。 「やあ、雪代さんか、」 と、八郎が声を掛けた
優婉な婦が居て、菊の奥を台所口から入ったお悦の手から魚籠を受取った。……品のいい....