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元来
「元来〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
元来の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
部だった。
二 牛乳
信輔は全然母の乳を吸ったことのない少年だった。
元来体の弱かった母は一粒種の彼を産んだ後さえ、一滴の乳も与えなかった。のみならず....
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
アジリンに住んでいた頃である。僕はもうあの頃から支那人にだけはなりすましていた。
元来天下に国籍くらい、面倒臭いお荷物はない。ただ支那と云う国籍だけはほとんど有無....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
一週間ばかり、岐阜県《ぎふけん》下の大垣町《おおがきまち》へ滞在する事になった。
元来地方有志なるものの難有《ありがた》迷惑な厚遇に辟易《へきえき》していた私は、....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
るかと思ったのでございましょう。驚破《すわ》と云う間もなく、算《さん》を乱して、
元来た方へ一散に逃げ出してしまいました。が、盗人たちはそれには目もくれる気色《け....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ある。が、万一前借の出来なかった時には、――その時はその時と思わなければならぬ。
元来彼は何のために一粟野廉太郎の前に威厳を保ちたいと思うのであろう? 粟野さんは....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
で相手にならないのです。が、友だちはそれで黙っていても、親戚の身になって見ると、
元来病弱な彼ではあるし、万一血統を絶《た》やしてはと云う心配もなくはないので、せ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
です?」と尋ねてみました。
「これですか? これはこの国ではよくあることですよ。
元来|画《え》だの文芸だのは……」
マッグは何か飛んでくるたびにちょっと頸《く....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
も僕にはわからなかった。(これは勿論僕自身の支那語に通じていない為である。しかし
元来|長沙《ちょうさ》の言葉は北京《ペキン》官話に通じている耳にも決して容易には....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
っちょうら》の上へ粗忽《そそう》をしたのです。ところが「青ペン」のお上と言うのは
元来猫が嫌いだったものですから、苦情を言うの言わないのではありません。しまいには....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
ばかばか》しさに業《ごう》を煮《に》やしたのです。それは業を煮やすはずでしょう。
元来達雄は妙子などを少しも愛したことはないのですから。……
主筆 しかしそれじ....
「白」より 著者:芥川竜之介
した。と思うと二度目のバットも頭の上へ飛んで来ます。白はその下をくぐるが早いか、
元来《もとき》た方へ逃げ出しました。けれども今度はさっきのように、一町も二町も逃....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
と、もう若者には用がないと云ったように、夕霞《ゆうがすみ》のたなびいた春の河原を
元来た方へ歩き出した。彼の心の中には、今までにない幸福の意識が波立っていた。河原....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
えたと言うことである。それは若《も》しほんとうとすれば、驚くべきことに違いない。
元来日本人は音楽と言うものを自ら教えることも知らないのであるから。」(第二巻第二....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
太人」「如何《いか》にも、眼《ま》のあたりに御受難の御《おん》有様を拝しました。
元来それがしは、よせふと申して、えるされむに住む靴匠《くつしょう》でござったが、....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
つくして勧めたし、また多数の科学者も均しくこれを希望しておった。 ファラデーは
元来、物事を即決する気風の人で、自分もこれに気づいているので、重要の事はいつも考....