充分[語句情報] » 充分

「充分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

充分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
られて、その囲みを手ぎわよく繰りぬけながら、自分の若い心を楽しませて行くタクトは充分に持っていた。十五の時に、袴《はかま》をひもで締《し》める代わりに尾錠《びじ....
或る女」より 著者:有島武郎
て見ると二人の姉妹はぴったりとくっつき合って泣いていた。人の足音を姉のそれだとは充分に知りながら、愛子のほうは泣き顔を見せるのが気まりが悪いふうで、振り向きもせ....
時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
る妥協を試みたのを見て、「不徹底」だと咎《とが》めている。私は今論者の心持だけは充分了解することができる。しかしすでに国家が今日まで我々の敵ではなかった以上、ま....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
のあたりに見やった時、君はそれまでの考えののんき過ぎたのに気がついたに違いない。充分の思慮もせずにこんな生活の渦巻の中に我れから飛び込んだのを、君の芸術的欲求は....
美術曲芸しん粉細工」より 著者:阿部徳蔵
てかゝつた仕事でないのだから、かうした讚辞を耳にしただけでも、もう狐光老の気持は充分に報いられてゐた。そして、『何しろこりや、美術しん粉細工なんだから……。』と....
隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
い声で小唄をうたいながら台所の洗い物をしている。姉はこんな日でなくては家の掃除も充分にできないといって、がたひち音をさせ、家のすみずみをぐるぐる雑巾がけをする。....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
うな声でようやくのこと返辞をした。十日ばかり以前から今日あることは判っているから充分の覚悟はしているものの、今さらに腹の煮え切る思いがする。 「さあおとよさん、....
」より 著者:池谷信三郎
きながら彼は考えた。俺は会社で一日八時間、この国の生産を人口で割っただけの仕事は充分すぎるほどしている。だから、この国の贅沢を人口で割っただけの事をしてもいいわ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
た。そんな真似をしたところで、一たん死んだ者が、とても現世へ戻れるものでない事は充分承知しているのですが、それで矢張り止めることができないのでございます。 し....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
過ぎ、又|入神状態に於て口で喋るのは、その全部を保存し難く、又潜在意識の闖入を、充分に防止し得るとは保証し難い所がある。 『私は一冊の手帳を求め、平生これを懐中....
我が宗教観」より 著者:淡島寒月
主義です。されば信ずるものは何かといえば、「眼鏡は眼鏡、茶碗は茶碗」とこの一言で充分でしょう。以上が私の宗教観です。此処に一首あります。 我が心遊ぶはいづこカイ....
凧の話」より 著者:淡島寒月
に二本|殖やすのである。二本糸目というのは、うら張りの具合で、上下二本の糸目でも充分なのである。本糸目というと、即ち骨の重った所及び角々全部へ糸目をつけたもので....
初雪」より 著者:秋田滋
別に淋しいとも思わなかった。と云って、彼女は良人を愛していなかったわけではない。充分愛してはいたのであるが、さりとて、良人は自分がそばにいないことをその妻に物足....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
言うたら、ファラデーは多少失望して見えた。 ファラデーがある事実を知るのには、充分満足するまでやって見ることを必要とした。それですっかり判ると、その次にはこれ....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
に敵の屈伏を企図し得るドイツの対仏作戦ならば、かくの如き要領で計画を立てて置けば充分である。元来、作戦計画は第一会戦までしか立たないものである。 しかしながら....