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兆し
「兆し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
兆しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。 おじさんもそろそろ飽きて来た。面白ずくで飛んだ事を引受けたという後悔の念も
兆して来た。 「これは江戸川の若旦那。なにをお調べになるんでございます」 笑い....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
、その一月後にはお母さまが殺されている。そして、今度は……) それは、明らかに
兆しのようなものだった。いまに誰かのうえに当然おこるであろう悲劇の前触れにちがい....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
に、悪しき予占ありといって止められたのであったが、思えばそれは、やがて起る悲劇の
兆しだったのであろう。 さてジーグフリードは、ウオルムスの城内のおいていたく歓....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
が、ちょうどその頃、左枝八郎を送り届けた洲蘆の出島には、陰々と闇にひしめく悲劇の
兆しが濃くなっていったのである。 その、出島にある猟館には、仏蘭西大使館の司厨....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
家は此点で、やはり哲学者でなければならぬ。当来の人生に対する暗示や、生命に絡んだ
兆しが、作家の気分に融け込んで、出て来るものが主題である。其を又、意識の上の事に....
「あのころ」より 著者:上村松園
、着物や帯のことをたずねに来られたことがありました。 将来美人画に進もうという
兆しがそのころからあったとみえて、女性の画ばかり描いていたのが、自然に覚えこんで....
「車中有感」より 著者:上村松園
に気づき、美容師も客も、協力して新時代の日本美を、その髪の上にも創り出そうという
兆しの現われを、わたくしは、この姉妹の女性の上に見てとって、ほのぼのとした悦びを....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
ぬ佳作が出来上ることがある。そのような時はまた格別に嬉しい。それは画境に一進展の
兆しがある場合が多いのである。 なんとかしてそこを補おうと工夫しながら眠りに落....
「妖怪学」より 著者:井上円了
うるところによるに、夜半に晴れわたりたる天気は永持ちせぬといい、月に暈あるは雨の
兆しなりといい、夕日の輝くは天気の
兆しなりという。また、ある書に、「灯心に丁字頭....
「妖怪学一斑」より 著者:井上円了
あるいは行灯の灯心にちょうができれば天気の兆候であるとか、鍋墨に火が付けば晴天の
兆しであるとかいうごとく、従来の経験上、多少基づくところがあって言うのである。ま....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
がごとき情感なく、ことに夢境は某川|暴漲せりと覚ゆれども、あたかも天晴朗、降雨の
兆しもなし。かつ、はじめ家を去るとき、父平素にたがわず健康なれば、これを煙消霧散....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
けたり。速やかに来たれ」と。また曰く、「狐狗狸よ、狐狗狸よ、すでに来たらば、その
兆しとして盆を右方にめぐらせ」と。また曰く、「この盆を右方にめぐらすをいとわば、....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
忌み、金曜日に旅立ちするを嫌い、二個の包丁の食卓上に相交わり十字形をなすを不吉の
兆しとし、プラムを食しその仁の数をかぞえて吉凶を卜すとし、火箸を炉の前に立てて火....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
仕様もなく、多可子や寛三の方を見た。多可子はまさに死んで行こうとする少女が、漸く
兆し初めた性の本能をわずかに自分の身辺に来る一人の男性である華岡医師に寄せ掛けて....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
ドイツ参謀本部は経済参謀本部の設立を提議している。無意識の中に持久戦争への予感が
兆し始めておったのである。この事は人間社会の事象を考察するに非常な示唆を与えるも....