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兆候
「兆候〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
兆候の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
らしい無関心の冷たさを感じた。
「しかし私が診察した時にゃ、まだ別に腹膜炎などの
兆候《ちょうこう》も見えないようでしたがな。――」
戸沢がこう云いかけると、谷....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
も口には出ぬ。叔父「アア又眠くなった、医者が眠れるだけ眠れと云うから、幾分か好い
兆候と見える、話は此の後に幾等もする時が有るから巴里へ行くなら早く行って来い」と....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
が替わったりしていた。そろそろと地の中に引きこまれて行くような薄気味の悪い零落の
兆候が町全体にどことなく漂っているのだ。 人々は暗々裏にそれに脅かされている。....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
猫のような俊は、先日からの中津の行動をいろ/\に思い起していた。恐ろしい何かの
兆候が、二三日も四五日も前からあった。 「ちょっと! ちょっと!……」 俊はま....
「碁の手直り表」より 著者:菊池寛
自分は、また大勝した。しかし、ちっとも愉快でなかった。 もうこの頃は、脳膜炎の
兆候があったのである。八日の日に、大学へ診察を受けに行ったが、始終頭痛がすると云....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
って来たのである。私だって、兎に角もう二月すれば医科の三年になるんだから、危険な
兆候があったかなかった位は分る。毛沼博士は酒にこそ酔っていたが、どこにも危険な兆....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
虜となっているのだった。 その深い皺、褪せた歯齦を見ると、それに命を取る病気の
兆候を見出したような気がして、年老いて情慾の衰えないことが、いかに醜悪なものであ....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
それに次いで、盤得尼は左の通り事件発生当時の情況を語り始めた。 ――推摩居士に
兆候が現われたので、盤得尼と浄善が夢殿の中へ連れ込み、盤得尼は油時計に、零時の目....
「妖怪学」より 著者:井上円了
の現象なきに腫物を夢み、二、三日の後、真腫発するがごとし。これは、体中すでにその
兆候あれども、常には全体の感覚のために滅却せられて、ことにこれを感ぜざるに、夢中....
「妖怪学一斑」より 著者:井上円了
、夕やけがすると天気の前兆であるとか、あるいは行灯の灯心にちょうができれば天気の
兆候であるとか、鍋墨に火が付けば晴天の兆しであるとかいうごとく、従来の経験上、多....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
ど苦しみました。しかし死ぬ三日前から、苦痛はほとんどなくなりました。私たちはよい
兆候なのかと思ったら医者はもう二、三日の命だと宣告しました。三日たちました。七月....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
の大将であり、延引の愛好者であったけれど、フィリップ王の鉛色の足は瀕死の生き物の
兆候を示すに反し、一方エリザベスは、その反対の条理に歩調を合わせた――恐るべき老....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
かんならざるをえず。しかるにその教、近年に至り著しくその勢力を減じ、大いに衰微の
兆候を現ぜしはいかん。もしまた、精神上の文明はヤソ教より発生すというときは、ヤソ....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
しないのだからね。病源といったところで、それからそれへと繰ってゆかねば、一局部の
兆候だけですぐに極めてかかるのは飛んだことになりやしないか。漢法では全的に見るの....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
な部分、僕の聴覚がひどく衰えたのだ。君がまだ僕といっしょにいたあの頃、すでにその
兆候を感じていたが僕はそれを隠していた。ところで病状はだんだん悪化するばかりだ。....