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「先の世〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

先の世の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
はおおかた忘れている。阿父《とうさま》は女にそんなものは必要がないとおっしゃる。先の世に住み古るしたる人を便りに、小野さんには、追いつく事も出来ぬように後れてし....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
佐は、長身を折って、机上の東洋大地図の上に、静かに、眼を走らせた。その紙面には、先の世界一周のときに観測したデータが、赤インキで、詳細に、書き入れられてあった。....
海底都市」より 著者:海野十三
けだ。今は妻君がなくとも、やがて結婚する年齢になるだろうじゃないか。だから二十年先の世の中であるこの海底都市において、君の妻君が町をうろうろしていたって、べつに....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:条野採菊
うるに俳優|澤村曙山が逸事を以てし、題して花菖蒲沢の紫と号せしに、この紫や朱より先の世の評判を奪い、三十年後の今日迄依然として其の色を変ぜざるのみか、一度やまと....
死者の書」より 著者:折口信夫
世話が再また、紛れ入って来たのであった。 ふっと、こんな気がした。 ほほき鳥は、先の世で、御経手写の願を立てながら、え果さいで、死にでもした、いとしい女子がなっ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
くしは、あなたのうちの直ぐ隣りにいた切《きり》ふさのトミでございます、あなた様が先の世で四十五歳の時に木喰戒《もくじきかい》をおうけになって、国へお帰りになさい....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
て、初期のリアリストたち、或は其以前にさかのぼってみることは有益です。自分達から先の世代の文学に何が求められているかということが、一層わかるために。バルザックの....
雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
だろうか。 こんな事を考えるともなく考えながら、私の心はいつか遠いわれわれの祖先の世に遊んでいた。 朗詠の歌の詞は「新豊の酒の色は鸚鵡盃の中に清冷たり、長楽....
フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
とを言ってしまったが、今はじめて、あの約束のまちがっていることがわかり、これから先の世の人々が、私というものを、自分たちの疫病神として呪うだろう、と考えて身慄い....
かなしき女王」より 著者:マクラウドフィオナ
すべ》ての事を知りつくしている、もうこの上に彼の知るべき事はない、彼は我々よりも先の世界に踏み入っている、彼を砂の上に寝かして、顔を星に向け、その素肌の胸に赤い....
古事記」より 著者:太安万侶
はるかのあちらですけれども、前々からの教によつて國土を生み成した時のことを知り、先の世の物しり人によつて神を生み人間を成り立たせた世のことがわかります。 ほん....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
目を見ても、輸入採択の歴史の明らかなものが多く、是だけは昔から、たとえば十代の祖先の世と同じであろうと認め得るものは、有るのかも知らぬが自分などにはまだ一向に見....