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先取
「先取〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
先取の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
はこれを聞いて慨然として献金を思い立った。抽斎は自家の窮乏を口実として、八百両を
先取することの出来る無尽講を催した。そして親戚故旧を会して金を醵出せしめた。 ....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
潮なるものの、秘密があるのである。 常識はそれが平板化されれば平板化される程、
先取権をもつものであるから、之は民衆の観念上の抵抗力となる事が出来る。現に平板な....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
――そうおっしゃるのは、いかにも七兵衛さんらしいが、そいつはいけねえ、人の趣向を
先取りなんぞは、人が悪いというものだ、お前さんが、すんなりわしの頼みを聞いておく....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いは細川の甲士と同様で、それに功名熱が煽《あお》りかけたが如何《いかん》せん――
先取権はもう、その細川の甲士の上にある。 さりとて、どうも、このままでは引けな....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
知れません。これらの島々は、まだ名あって主のなき島と謂《い》うべきだから、我々に
先取権が帰着すべき希望も充分あります。では、船へ帰って、この旨、一同に申し告げて....
「三木清を憶う」より 著者:豊島与志雄
た。一切れ頬張ると、また箸をつきだして、鍋の中の生煮えの一切れを押える。無意識に
先取特権を宣言するのである。肉が少くなると、他の者は箸を差出す余地がなくなる。最....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
だ。」
「君、」とクールフェーラックは言った、「僕の家にきたまえ。」
「僕の方に
先取権はあるんだが、」とレーグルは言葉をはさんだ、「悲しいかな自分の家というのが....
「魔都」より 著者:久生十蘭
掘面積六十万坪、年五万瓩の優良ボーキサイト(アルミニュームの原鉱)の採掘権を林に
先取されてしまった。小口の日興がこれを黙って見ている筈がないと思っていたところ、....
「武士を夷ということの考」より 著者:喜田貞吉
するも、その結果はただに学説を剽竊したりというのみに止まらず、学界に対してこれが
先取権を登録せしむるの結果とならざるべからず。しかしてもし原説者において、すでに....
「尊攘戦略史」より 著者:服部之総
て、開港前すでに幕府に好感はもたれていなかった。巧みに英支事情を捕えて日本開国を
先取した米国からも同様な耳こすりがあって、英国はますます幕府から袖にされた。幕府....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
集はかくして海豹島の東面の砂浜に上陸する。自己のハーレムを形成すべく第一に地位の
先取権獲得、次では生存の上の決定的優勝が各自に期せられてあらねばならぬ。生か死か....