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光背
「光背〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
光背の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
折った右側の方に、一艘の埃及船が描かれ、左側には、六つの劃のどのなかにも、四角の
光背をつけた博士自身が立っていて、側にある異様な死体を眺めている。そして、その下....
「道標」より 著者:宮本百合子
けて来ているほどの本質を、川辺みさ子が個人的な、天才の光輝と思いちがいし、自分の
光背ともして背負いあげたことは、愚かしい単純さであり、思いあがりとして、彼女の一....
「白くれない」より 著者:夢野久作
見尋常一様の観世音菩薩の立像の如くなるも、長崎にて物慣れし吾眼には紛れもあらず。
光背の紋様、絡頸の星章なんど正しく聖母マリアの像なり。さてはと愈々心して欄間の五....
「文学における今日の日本的なるもの」より 著者:宮本百合子
氏の結論が出されている。 「小説の刃は衂《ちぬ》られなければならない」と、芸術の
光背を負うて陸離たるが如くあった室生犀星氏が、近頃の抱負として「家ではよき父であ....
「金色の秋の暮」より 著者:宮本百合子
ている。徳川時代のものだろうか。もう暗いので、朧に仏像の金色が見えただけ、木像、
光背も木。余り立派な顔の仏でないようだ。境内宏く、古びた大銀杏の下で村童が銀杏《....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、顕微鏡検査をして呉れ給え。黒い煤みたいなものなんだが、薬師三尊のうちの、月光の
光背にだけ附いていたんだよ」と云ってから、 「赤と赤、火と火!」と小声で、夢見る....
「飛騨の顔」より 著者:坂口安吾
太子の死んだのは、その皇妃の死んだ二月二十一日の翌日である。それは金堂の釈迦像の
光背の文字が示している通りである。ところが亀背上の文字は皇妃の死んだ日の翌日、推....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
感動させた。物々しくはないが特殊な製作ぶりを示している。浄明寺の出陳である。舟型
光背につつまれた、明快で優に妙なる御姿である。技巧は極めて繊細であるが、よく味っ....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
懸鼓の如き日輪を、心にして写し出す外はない。さすれば、水平線に半身を顕し、日輪を
光背とした三尊を描いたであろう。だが、此は単に私どもの空想であって、いまだ之を画....
「法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
で、その後太子の御為に釈迦仏を敬造して、ここに二本尊存在することとなった。これは
光背の銘文によって窺知せらるるのみならず、天平十九年の資財帳によって、当時なおそ....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
。仏教を産んだインドの壁画には、これほど清浄を印象するものはない。 この弥陀の
光背も実にすばらしい。体から放射して体の周囲に浮動している光の感じが実によく出て....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ても、ほんのワラぶき屋根の仮御堂である。せまい、ほの暗い、須弥壇の上に、聖観音の
光背までが金色の蜘蛛の巣みたいに仰がれる。 卯木は、この間じゅうから、ここの御....
「簪を挿した蛇」より 著者:中谷宇吉郎
まいりの座につかせられた。燈明《とうみょう》の光がゆらぐごとに、仏壇の中の仏様の
光背《こうはい》が鈍く金色にゆれた。ぼんやりとその光に見入りながら、遠い遠い昔、....
「俳句の作りよう」より 著者:高浜虚子
って、その句を通して背後には一種の後光のようなものがある。あたかも仏様の後にある
光背のごときものがそこにある。上っ面は平凡な句であるにかかわらず、何遍も味わって....