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克く
「克く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
克くの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
有りませんか。私だって普通の女では無いんですからね。筋路さえ通った事なら、機嫌|
克く御見送りしますよ」と意外に理解が早いので有った。然うして急いで竜次郎の縛めを....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
にはにかんでいる。無器用な小供のように卒直に歩く――実は長い洋行後|駒下駄をまだ
克く穿き馴れて居ないのだ。朝の空気を吸う唇に紅は付けないと言い切って居るその唇は....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
切るほうに悶いたであろう、その煩悶も苦痛には相違ないが、これ戦である、彼の意力は
克くこの悩に堪えたであろう。 然し今の彼の苦悩は自ら解く事の出来ない惑である、....
「死生」より 著者:幸徳秋水
許して死を賜うことなかったならば、彼等四十七人は尽く光栄ある余生を送りて、終りを
克くし得たであろう歟、其中或は死よりも劣れる不幸の人、若くば醜辱の人を出すことな....
「家」より 著者:島崎藤村
そこへ来て坐った様子は、どうしても父親さんですよ……手付なぞは兄弟中で彼が一番|
克く似てますよ」 「阿爺もこんな不恰好な手でしたかね」と三吉は笑いながら自分の手....
「雪の宿り」より 著者:神西清
垂涎シ、粉焉沓然、風ヲ成シ俗ヲ成ス。』人は惜しむらくは罵詈にすぎぬという。しかし
克く罵言をなす者すら五山八千の衆徒の中に一人もないではないか。いや一人はいる。宗....
「現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
会議に於て、吏道の実例を一つ示すことを忘れなかった。「今回の事件に際し身を挺して
克く防衛の任務を尽し、遂にその職に殉じたる警察官の行績は遺憾なく警察精神を顕現し....
「「或る女」についてのノート」より 著者:宮本百合子
女に遭ひぬ。然り彼女と共に上野を歩しぬ。余は彼女に遭はざらん事を希ふ。余の頭は今
克く其戦に堪へず。」云々。 同じ頃、まだ生活の方向をも定めていなかった若い有....
「木曽御嶽の両面」より 著者:吉江喬松
遠いのを思うとすこぶる心もとない。 桜沢、若神子、贄川、平沢の諸駅、名前だけは
克く耳にしていた。桜沢以西は既に西筑摩郡で、いわば前木曾ともいうべき処である。こ....
「三国志」より 著者:吉川英治
孔明は、銀坑の蛮都に入ってから、これを治めて掠めず、これを威服せしめて殺戮せず、
克くただ徳を布き、さらに軍をととのえて、王征を拡大して来た途にあった。 「魏延、....