»
兎
「兎〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
兎の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
郎の前へ手を合わせて、震えながら頭を下げた。と思うと、乱れた髪もつくろわずに、脱
兎《だっと》のごとく身をかわして、はだしのまま、縁を下へ、白い布をひらりとくぐる....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
立ち並んだ所謂《いわゆる》「文化村」に変っていた。………
しかし「玄鶴山房」は
兎《と》に角《かく》小ぢんまりと出来上った、奥床しい門構えの家だった。殊に近頃は....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
、――雪の積った城楼《じょうろう》の屋根だの、枯柳《かれやなぎ》に繋《つな》いだ
兎馬《うさぎうま》だの、辮髪《べんぱつ》を垂れた支那兵だのは、特に彼女を動かすべ....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
床をとらせていた。三軒の雑誌社に約束した仕事は三篇とも僕には不満足だった。しかし
兎《と》に角《かく》最後の仕事はきょうの夜明け前に片づいていた。
寝床の裾《す....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
》かれたんです。今の上《のぼ》りに轢かれたんです。」
小僧は早口にこう云った。
兎の皮の耳袋《みみぶくろ》をした顔も妙に生き生きと赫《かがや》いていた。
「誰が....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
んだな。二十位と――」
「男ですかしら? 女ですかしら?」
「さあね。……しかし
兎《と》に角《かく》この人は混血児《あいのこ》だったかも知れないね。」
僕はK....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
向ひて光る星あり
しかし星も我我のように流転を閲《けみ》すると云うことは――
兎《と》に角《かく》退屈でないことはあるまい。
鼻
クレオパトラの鼻....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
次第なのですが、御主人の仰《おお》せもありましたし、御給仕にはこの頃御召使いの、
兎唇《みつくち》の童《わらべ》も居りましたから、御招伴《ごしょうばん》に預《あず....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
拗さが潜んでいる。それは江口自身不快でなければ、近代的と云う語で形容しても好い。
兎に角憎む時も愛する時も、何か酷薄に近い物が必江口の感情を火照らせている。鉄が焼....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
ないと云う。云う心の大部分は、純粋な芸術的感銘以外に作者の人生観なり、世界観なり
兎に角或思想を吐露するのに、急であると云う意味であろう。この限りでは菊池寛も、文....
「小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
感じたものである。が、その後氏に接して見ると、――接したと云う程接しもしないが、
兎に角まあ接して見ると、肚の底は見かけよりも、遥に細い神経のある、優しい人のよう....
「剛才人と柔才人と」より 著者:芥川竜之介
佐佐木君は剛才人、小島君は柔才人、
兎に角どちらも才人です。僕はいつか佐佐木君と歩いていたら、佐佐木君が君に突き当っ....
「豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
いと云ったのも恐らく其時だったろう。それから――後はみんな、忘れてしまった。が、
兎に角、世間並の友人づき合いしかしなかった事は確である。それでいて、始終豊島の作....
「初雪」より 著者:秋田滋
十八番だった。自分が鷓鴣に出あった場所を教えたり、ジョゼフ・ルダンテューの猟場に
兎が一匹もいなかったことに驚いてみせたりした。そうかと思うと、また、アンリ・ド・....
「寡婦」より 著者:秋田滋
うだと云いだした。が、ねッから面白い話も出なかった。男の猟人たちは射撃の冒険談や
兎を殺した話などをした。女連のほうも頻りに頭を悩ましているのだったが、千一夜物語....