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「兎角〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

兎角の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
えの遊女を穴倉へ閉じ籠めて置いて、みんな焼き殺してしまったとかいうので、それから兎角にけちがついて、商売の方もあまり思わしくない。尤も吉原では暖簾の旧《ふる》い....
国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
であった。一座はそれについて重大なる責任を思いながらも、昨日の惨劇におびえ切って兎角、議案にまとまりがつかない様子であった。一座の中には、鬼村博士の命拾いまでを....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
何と云っても病院の方が多く、そこから白いシーツなどがヒラヒラと乾されているのが、兎角通行人の目につきやすく、病院街と呼ばれることになったらしい。 その駿河台の....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
に対する義務にかこつけようとするのを意地悪く邪魔する心があり、かの女はまた幾日か兎角しつつ愚図愚図していた。するとまた或日来た青年の手紙は強請的な哀願にしおれて....
河明り」より 著者:岡本かの子
人の子を付け覗っている。強慾な女」と罵った。 ところが、晩産のため、堺屋の妻は兎角病気勝ちで、娘出生の後一年にもならないうちに死んで仕舞った。 その最後の病....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
来て一年中の傑作が国家の名を以て選奨せらるゝようになった。文部省の文芸審査に就て兎角の議論をする人があるが政府は万能で無いから政府の行う処必ずしも正鵠では無い。....
戦話」より 著者:岩野泡鳴
たと云うたら云えんこともなかろう。もう、死んだんが本統であったんやも知れんけど、兎角、勇気のないもんがこない目に会うて」と、左の肩を振って見せたが、腕がないので....
白い下地」より 著者:泉鏡花
に埒外に走って一番これを色彩という側に取ろう、そのかわり、一寸仇ッぽい。 色は兎角白が土台になる。これに色々の色彩が施されるのだ。女の顔の色も白くなくッちゃ駄....
新時代女性問答」より 著者:岡本かの子
真の創造や鬱勃たる熱情に乏しいと思います。近代の女性はなかなか巧利的な所もあって兎角利害の打算の方が感情よりも先に立って利害得失を無視してどこまでも自分の感情を....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
人知れず何彼とお世話を焼いてくださるのでございます。それがよく判らないばかりに、兎角人間はわが侭が出たり、慢心が出たりして、飛んだ過失をしでかすことにもなります....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
ければ、成るべく、交霊を差控えるがよい。同様に肉体が食物で充填し切って居る時も、兎角下級霊の為めに先手を打たれ勝ちで甚だ困る。かの物理的心霊現象でさえもが、そう....
茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
て居るは何とも羨しい次第である、彼等が自ら優等民族と称するも決して誇言ではない、兎角精神偏重の風ある東洋人は、古来食事の問題などは甚だ軽視して居った、食事と家庭....
青蛙神」より 著者:岡本綺堂
ましょうが……。私はこのごろ好んで怪談の書物を読んでいるせいか、こういう場合には兎角その方へ引き付けて、ミステリアスに考える傾きがあるようです。 中二 そうする....
」より 著者:岡本かの子
ある身を。 ――人間道では許されぬことだが、畜生道ならたいした障りでもあるまい。兎角、人の持ちものには食指の動く方でな。 女決心した思い入れあって ――ええ、よ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
のはあとで心の揺ぎがありません。それをしないでいきなり「信仰」に入ろうとすると、兎角、遺憾な事や迷いが邪魔をします。 よく世間の中には、宗教と科学とは両立しな....