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「入梅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

入梅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
朝顔の培養《ばいよう》に失敗した事、上野《うえの》の養育院の寄附を依頼された事、入梅《にゅうばい》で書物が大半|黴《か》びてしまった事、抱《かか》えの車夫が破傷....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
家もまばらだが、人通りも少ない寂しい通りばかりです。ましてや、明け暮れ降りつづく入梅なのでした。行き来の者はまったくとだえて、見えるものはどろ道と坂ばかり……。....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
根津は身体に痛み所があるので下座敷のひと間を借りていた。着いて四日目の晩である。入梅に近いこの頃の空は曇り勝ちで、きょうも宵から細雨が降っていた。夜も四つ(午後....
貧を記す」より 著者:堺利彦
て頼みぬ。さるに愚公もあまり暖かならず。金五〇銭出してくれぬ。 貧景全備入梅の日、雷雨至り屋漏ること滝のごとし。畳をあぐること二畳、貧景ここに至って全く....
風野又三郎」より 著者:宮沢賢治
なんだ。あすこを通った日は丁度お天気だったけれど、そうそう、その時は丁度日本では入梅《にゅうばい》だったんだ、僕は観測所へ来てしばらくある建物の屋根の上にやすん....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
ましても、家へ顔を出しますのはやっぱり破風から毎年その月のその日の夜中、ちょうど入梅の真中だと申します、入梅から勘定して隠居が来たあとをちょうど同一ように指を折....
入梅」より 著者:久坂葉子
た。それは丁度、若葉が風にゆらいでいきいきとしており、モスの着物が少しあつすぎる入梅前のこと、素足にエナメル草履の古いのをつっかけて庭掃除に余念がなかった。毛虫....
久坂葉子の誕生と死亡」より 著者:久坂葉子
のだが、私が、はじめて、久坂葉子なる名前を附したもので、一週間位して、第二作、「入梅」を、島尾氏のところへ持って行き、それがVIKINGにのったのだ。 島尾氏....
鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
「あすはお発ちになりますそうで……。」 それを口切りに、夫人は暫く話していた。入梅はまだ半月以上も間があるというのに、ここらの山の町はしめっぽい空気に閉じこめ....
平塚明子(らいてう)」より 著者:長谷川時雨
生《ば》えなのに青い栗毬《いが》をつけていたことを思い出します。 昨夜は、もう入梅であろうに十五日の月影が、まどかに、白々と澄んでおりました。夏の月影の親しみ....
温泉雑記」より 著者:岡本綺堂
。根津は身体に痛み所があるので下座敷の一間を借りていた。着いて四日目の晩である。入梅に近いこの頃の空は曇り勝で、きょうも宵から小雨が降っていた。夜も四つ(午後十....
伝通院」より 著者:永井荷風
ある芸術的素質をつくってくれたのである。 * 夕暮よりも薄暗い入梅の午後|牛天神《うしてんじん》の森蔭に紫陽花《あじさい》の咲出《さきいづ》る....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
梅雨時も無事に通り越すことができました。木の芽時といって、私のようなからだには、入梅頃から新緑へかけての気候が一番いけないのですが、どうやらその時季も無事に通り....
濹東綺譚」より 著者:永井荷風
は多年の習慣で、傘《かさ》を持たずに門を出ることは滅多にない。いくら晴れていても入梅中のことなので、其日も無論傘と風呂敷とだけは手にしていたから、さして驚きもせ....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
座では屈指のカッフェーに数えられている現在のドンフワンに君江を周旋した。間もなく入梅があけて夏になり、土用の半《なかば》からそろそろ秋風の立ち初める頃まで、清岡....