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「入用〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

入用の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
の頃は摩利伽《まりか》へでも、一時渡っているつもりでしたから、余計に金《かね》の入用もあったのです。 町は勿論とうの昔に人通りを絶っていましたが、星ばかりきら....
桃太郎」より 著者:芥川竜之介
に旗《はた》とか太刀《たち》とか陣羽織《じんばおり》とか、出陣の支度《したく》に入用《にゅうよう》のものは云うなり次第に持たせることにした。のみならず途中の兵糧....
保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
ったのに違いない。たちまち伸《の》びたり縮《ちぢ》んだりしながら、 「次の時間に入用《いりよう》なのです。」と云った。 保吉はもと降りた階段を登り、語学と数学....
或る女」より 著者:有島武郎
ものほどみっともないんですもの」 しばらくしてから、 「でもあのお金はあなた御入用ですわね」 木村はあわてて弁解的に、 「いゝえ、あれはどの道あなたに上げる....
或る女」より 著者:有島武郎
はなかったが、やはりじっと耳を傾けないではいられなかった。 何かの話のついでに入用な事が起こったのだろう、倉地はしきりに身のまわりを探って、何かを取り出そうと....
碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
思い始めた。さっき八っちゃんがにこにこ笑いながら小さな手に碁石を一杯握って、僕が入用ないといったのも僕は思い出した。その小さな握拳が僕の眼の前でひょこりひょこり....
婦系図」より 著者:泉鏡花
縋って跡に附くと、早や五六間|前途へ離れた。 「どうも恐入ります。ええ、何、別に入用なのじゃないのでございますから、はい、」 と最初の一喝に怯気々々もので、申....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
で、東海道の藤沢まで、買物に行ったのでござりました。 一月に一度ぐらいは、種々入用のものを、塩やら醤油やら、小さなものは洋燈の心まで、一車ずつ調えさっしゃりま....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
(でも、あの、そういう私が、密と出して、見たいんでございます。) (そこで鍵が御入用。) (ええ、ですけど、人様のものを、お許しも受けないで、内証で見ては悪うご....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
実にやった。それゆえマスケリーも自分の持っている本を貸してやったり、講義の筆記に入用だからというて、画のかき方を教えてやったりした。 ファラデイの聴いたのはタ....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
ならざりしにもかかわらず、陸軍の隊長等は仏国教師の言を聞き、これも必要なり彼れも入用なりとて兵器は勿論、被服帽子の類に至るまで仏国品を取寄するの約束を結びながら....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
たものである。――もっとも十ぐらいまでの小児が、家からここへ来るのには、お弁当が入用だった。――それだけに思出がなお深い。 いま咲く草ではないけれども、土の香....
註文帳」より 著者:泉鏡花
威勢の好い懸合だから、一番景気だと帳場でも買ったのさね。 そこで切味の可いのが入用というので、ちょうどお前ん処へ頼んだのが間に合うだろうと、大急ぎで取りに来た....
活人形」より 著者:泉鏡花
七七日の忌も果てざるに、得三は忠実の仮面を脱ぎて、ようやく虎狼の本性を顕したり。入用る雑用を省くと唱え、八蔵といえる悪僕一人を留め置きて、その余の奴僕は尽く暇を....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
覇道主義となっている。あるいは西洋人以上の覇道主義者である。見給え、平気で「油が入用だから蘭印をとる」と高言しているではないか。西洋人でも今少しは歯に衣をかけた....