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全然
「全然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
全然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
洋人の女である。少年は怯《お》ず怯《お》ずこの店にはいり、空気銃を一つとり上げて
全然|無分別《むふんべつ》に的《まと》を狙《ねら》う。射撃屋の店には誰もいない。....
「カルメン」より 著者:芥川竜之介
かまわずにね、……」
「カルメンのように踊ったのかい?」
そこへ僕等の興奮とは
全然つり合わない顔をした、頭の白い給仕が一人、静に鮭《さけ》の皿を運んで来た。……
(大正十五年四月十日)....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
だんな》なんだ。いや、二月《ふたつき》ほど前《まえ》までは檀那だったんだ。今じゃ
全然手を切っているが、――」
「へええ、じゃあの若槻という人は、――」
「僕の中....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
やか》な下座《げざ》の囃《はや》しと桜の釣枝《つりえだ》との世界にいながら、心は
全然そう云うものと没交渉な、忌《いま》わしい色彩を帯びた想像に苦しめられていたの....
「河童」より 著者:芥川竜之介
固《かた》さを加えるようです。現に年をとったバッグの皿は若いチャックの皿などとは
全然手ざわりも違うのです。しかし一番不思議なのは河童の皮膚の色のことでしょう。河....
「彼」より 著者:芥川竜之介
で見ても、逞《たくま》しい体をしているからなあ。」
しかし彼を慰めるものはまだ
全然ない訣《わけ》ではなかった。それは叔父さんの娘に対する、極めて純粋な恋愛だっ....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
し、粉雪《こなゆき》のふる往来へ出ることにした。しかし何か興奮した気もちは僕にも
全然ない訣《わけ》ではなかった。僕等は腕を組みながら、傘もささずに歩いて行った。....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
彼等の菩提《ぼだい》を弔《とむら》っている兵衛の心を酌《く》む事なぞは、二人とも
全然忘却していた。
平太郎の命日は、一日毎に近づいて来た。二人は妬刃《ねたば》....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
たものだった。が、その景色が眼にはいると、お蓮は嗽《うが》いを使いがら、今までは
全然忘れていた昨夜《ゆうべ》の夢を思い出した。
それは彼女がたった一人、暗い藪....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
縄《なわ》をかけた。おぎんも同時に括《くく》り上げられた。しかし彼等は三人とも、
全然悪びれる気色《けしき》はなかった。霊魂《アニマ》の助かりのためならば、いかな....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
た訣《わけ》ではない。保吉は現に売店の猫が二三日行くえを晦《くら》ました時にも、
全然変りのない寂しさを感じた。もし鎮守府司令長官も頓死《とんし》か何か遂げたとす....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
しました。勿論半之丞がお松に通《かよ》いつめていたり、金に困っていたりしたことは
全然「な」の字さんにはわからなかったのでしょう。「な」の字さんの話は本筋にはいず....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
て受用した事であろう。そうしてまた、如何に彼は、その放埓の生活の中に、復讐の挙を
全然忘却した駘蕩《たいとう》たる瞬間を、味った事であろう。彼は己《おのれ》を欺い....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
自分にも着物を一つ、拵《こしら》えてくれろと云い出した。父はにやにや笑ったぎり、
全然その言葉に取り合わなかった。姉はすぐに怒り出した。そうして父に背を向けたまま....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
》った黄塵《こうじん》はいよいよ烈しさを加えるのであろう。今は入り日さえ窓の外に
全然光と言う感じのしない、濁《にご》った朱《しゅ》の色を漂《ただよ》わせている。....