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「全紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
全紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
る某が、親佐と葉子との二人《ふたり》に同時に慇懃《いんぎん》を通じているという、
全紙にわたった不倫きわまる記事だった。だれも意外なような顔をしながら心の中ではそ....
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
聞の三面に「死んだ人」の欄に一括して載せられる。ブルジョアの結婚が破れたことは、
全紙を数日間にわたって埋《うず》める。それだけのことなのだ! (以下十九字不明)....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
業場へ送って、快い昂奮を貪るのであった。 風船をつくるには、色とりどりの蝋紙の
全紙を、まずそれぞれの大きさに随って、長い花びらのように切り、それを積み重ねてお....
「十五年間」より 著者:太宰治
大本営発表」である。それは、知識の「戦時日本の新聞」である。 戦時日本の新聞の
全紙面に於いて、一つとして信じられるような記事は無かったが、(しかし、私たちはそ....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
ア壁画の帖があった。スタインの和※報告があった。前者はアッシリアの浮雕を撮影した
全紙の玻璃版で、極めて緻密なる細部の雕刻までを鮮明に現わして殆んど実物を髣髴せし....
「ジャーナリズム雑感」より 著者:寺田寅彦
しれないのである。 昔はまたよく甲社でたとえば「象の行列」を催して、その記事で
全紙の大部分を埋め、そのほとんど無意味な出来事が天下の一大事であるかのごとき印象....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
午餐を出した。ここの和尚も揮毫を求めたから禅宗でもあるし、かたがた例の達磨の句を
全紙に書きなぐって与えて置いた。この寺は故子規居士の石碑もあるから、知る人は時々....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
けたが、その中には、故人の位階のみならずあらゆる親戚の封建的貴族的資格のすべてが
全紙にしるしてあった。「まあ死ぬのに何といういい肩書きだろう!」と彼は叫んだ。「....
「正午の殺人」より 著者:坂口安吾
博士はキゲンうるわしく文作を迎えた。 「まア、かけたまえ。君の来訪に備えて東京の
全紙から事件のスクラップをとっておいたが、云い合わしたように報道に欠けてるところ....
「生前身後の事」より 著者:中里介山
であった。 まずあの手引の古機械は美濃版がかかることになっているが、むろん美濃
全紙面を印刷面にするわけには行かない、天地左右をあけて四六版の小型に組めば四面だ....
「精神病覚え書」より 著者:坂口安吾
沢氏を小樽から東京へ連行した場合、これを新聞記者が探知したならば、特ダネとして、
全紙面をうめるぐらいに書き立てた筈である。現に、平沢氏の前に、水戸の某氏がひそか....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
劇界の消息は内地から発送してくる新聞紙上で知るのほかはなかった。その新聞も殆んど
全紙面を戦争記事で埋めているので、演芸界の出来事などはよく判らなかった。 なん....
「審判」より 著者:カフカフランツ
。そこでまず外見上の無罪宣告のほうです。あなたがこれをお望みと言われるなら、私は
全紙一枚にあなたの潔白なるゆえんの証明書をあげます。こういう証明書の型は父から伝....
「立春の卵」より 著者:中谷宇吉郎
は、写真入りで大々的にこの新発見を報道している。もちろんこれは或《あ》る意味では
全紙面を割《さ》いてもいいくらいの大事件なのである。 昔から「コロンブスの卵」....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
もどれもが面色は蒼白になっている。 ここにまた、碧い包装紙を拡げ、検査された完
全紙の層を、としりとしとしと載せ、重ねて、揃えて、整えて、またパタパタと四方から....