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八分
「八分〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
八分の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「たね子の憂鬱」より 著者:芥川竜之介
の中でも最も苦しい何分かだった。彼女は怯《お》ず怯《お》ず椅子《いす》を離れ、目
八分《めはちぶん》に杯をさし上げたまま、いつか背骨《せぼね》さえ震え出したのを感....
「槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
ははげしい真夏の日の光で雪がのこっているのかと思われるほど白く輝いて見える。山の
八分がこのあらい灰色の岩であとは黒ずんだ緑でまだらにつつまれている。その緑が縦に....
「或る女」より 著者:有島武郎
ラスをはめた入り口の繰り戸を古藤が勢いよくあけるのを待って、中にはいろうとして、
八分通りつまった両側の乗客に稲妻《いなずま》のように鋭く目を走らしたが、左側の中....
「或る女」より 著者:有島武郎
っていた。貞世もその晩はひどく熱に浮かされもせずに寝続けて、四時ごろの体温は七度
八分まで下がっていた。緑色の風呂敷《ふろしき》を通して来る光でそれを発見した葉子....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
三人とも恐ろしさに顔の色を変えてしまった。殴りつけられる時するように腕をまげて目
八分の所にやって、逃げ出す事もし得ないでいた。
「童子連《わらしづれ》は何条《な....
「星座」より 著者:有島武郎
れたね」
渡瀬はまたからからと笑って、酒に火照《ほて》ってきた顔から、五分刈が
八分ほどに延びた頭にかけて、むちゃくちゃに撫《な》でまわした。
「ところが奥さん....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
国人は髯をもじゃもじゃと破顔して、ちょうど食後の林檎を剥きかけていた処、小刀を目
八分に取って、皮をひょいと雷干に、菓物を差上げて何か口早に云うと、青年が振返って....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
今夜ははあおまんまがうめえぞ」 と言って、飯茶わんをちょっと押しいただくように目
八分に持ち上げるのを見る時なぞは、君はなんと言っても心から幸福を感ぜずにはいられ....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
いるのである。ポセイドニオスは水時計の助けを借りて太陽の直径を測り、角度にして二
八分という値を得、それから長さに換算して地球半径の七〇倍を得ている。これはいくら....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
にござりまして。ええ、月の真珠、花の真珠、雪の真珠、いずれも一寸の珠三十三|粒、
八分の珠百五粒、紅宝玉三十|顆、大さ鶴の卵、粒を揃えて、これは碧瑪瑙の盆に装り、....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
午前。」 と俯向いて探って、鉄縁の時計を見た。 「零時四十三分です。この汽車は
八分に着く。…… 令嬢の御一行は、次の宿で御下車だと承ります。 駅員に御話し....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
い虫が居た。 しかも、こっちを、銑吉の方を向いて、髯をぴちぴちと動かす。一疋七
八分にして、躯は寸に足りない。けれども、羽に碧緑の艶濃く、赤と黄の斑を飾って、腹....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
正面へ。 開放した障子を洩れて、だらりと裾を引いた萌黄の蚊帳を横にして、廊下の
八分目ぐらいな処で、 「便所か。」 と云う、髯、口許が明々として、洋燈を翳す。....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
照降町の背負商いから、やがて宗右衛門町の角地面に問屋となるまで、その大島屋の身代
八分は、その人の働きだったと言う。体量も二十一貫ずッしりとした太腹で、女長兵衛と....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
のって、からだをはなれた魂はとんで行きます。太陽の光は、二千万マイル以上の旅を、
八分と二、三秒ですませてしまいます。ところで電気の早飛脚によれば、たましいは、太....