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共同便所
「共同便所〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
共同便所の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬」より 著者:芥川竜之介
ぐらいだった。のみならず僕のはいったほかにもペンキ塗りの戸の幾つも並んでいるのは
共同便所にそっくりだった。面会室の正面にこれも狭い廊下《ろうか》越しに半月形《は....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
りを眺《なが》めていると、そこの明るさが嘘《うそ》のようだった。ちょうど向い側が
共同便所でその臭気がたまらなかった。その隣りは竹林寺《ちくりんじ》で、門の前の向....
「党生活者」より 著者:小林多喜二
スをはいて、その中に入れてはいること。彼女は朝Sの方からビラを手に入れたら、街の
共同便所に入って、それをズロースに入れる。工場に入ってからは一定の時間を決めて、....
「蠅男」より 著者:海野十三
壮なものだったそうだ。味方はたちまち蜘蛛の子を散らすように四散して、電柱のかげや
共同便所のうしろを利用してしまったというわけさ」 「検事さんのお口にかかっては、....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
しさに耐えよ。 振仮名がついた下手な字で、ビラが貼らさっていた。下の余白には、
共同便所の中にあるような猥褻な落書がされていた。 飯が終ると、寝るまでの一寸の....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
雷門を離れると、もう真暗だった。そこで買って来た提灯をつけたお千は吾妻橋の脇の
共同便所の前で、杜を待たせて置いて、また用を達しに入った。 吾妻橋は直したと見....
「諸国の玩具」より 著者:淡島寒月
評判で三千円という利益があった。 当時奥山の住人というと奇人ばかりで、今立派な
共同便所のある処|辺に、伊井蓉峰のお父さんの、例のヘベライといった北庭筑波がいま....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
は丁稚が居眠っていました。道頓堀川の岸へ下って行く階段の下の青いペンキ塗の建物は
共同便所でした。芋を売る店があり、小間物屋があり、呉服屋があった。「まからんや」....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
にはないのである。 山下から都電が岐れて、一本は池の方へまがろうとするところに
共同便所がある。 「あの便所がカキ屋の仕事場なんですよ」 と私服の下にピストル....
「東京に生れて」より 著者:芥川竜之介
色は全然なくなつてしまつたわけではない。僕は或る夏の暮れ方、本所の一の橋のそばの
共同便所へ入つた。その便所を出て見ると、雨がぽつ/\降り出してゐた。その時、一の....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
を尽して奮闘の覚悟に候、北京の町の汚なさお話になつたものにあらず、宮中|厠と申候
共同便所の如きもの往来の両側に処々散在すれども日本の
共同便所と同日に談ずべくもな....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
男子でも少し心掛けのある者はみな蹲って小便をする。そういう風に一家の内でもやはり
共同便所のような具合になって居って、その間に仕切がない。即ち男女混合ですが少しも....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
したりしに起因すという。また、停車場にて食品を売るもの女子なり。市街および公園に
共同便所を置かざること。停車場内に時間表も汽車賃表も時計も置かざること。寺院の多....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
た屋の裏に月四円五十銭で借りた。四畳と三畳の二間だけの長屋で路地のまん中あたりに
共同便所がついている。 男のひとり世帯である。ここへは北の芸者がよく遊びにきた....