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其の物
「其の物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
其の物の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
る時計だのに、其の針が幾度も盤の面を廻るとは余り奇妙では無いか、元来此の時計は塔
其の物と同じく秘密の仕組で、何《ど》うして捲き何うして針を動かすかは、代々此の家....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
1 これは或るスパイ事件だ。 ところで、これから述べてゆく
其の物語の中には、日本人の名前ばかりが、ズラズラと出てくるのだが、読者諸君は、そ....
「文明国には必ず智識ある高等遊民あり」より 著者:内田魯庵
の国の文明が別れる。智識ある高等遊民のあるのは其の国の文明として喜んで好い、遊民
其の物を喜ぶのではないが、国が文明になれば遊民も亦智識が進み、文明になる。それは....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
んか》の活動写真を看ながら、アメチョコを嘗《な》めて育つお坊ちゃんとは訳が違う。
其の物ごし物言いにも、段々と自分を鍛い上げて行こうという立派な心の閃《ひらめ》き....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
其の知恵者より成れり。 一、沈黙にして雄弁なり。 一、朋友と面座上に接す。 一、
其の物より求めらるゝの煩なし。 一、依之我を教育す。 一、年を忘れしむ。 皆....
「阿芳の怨霊」より 著者:田中貢太郎
椀は壁に当って音をたてた。由平は続けて手あたり次第に膳の上の茶碗や小皿を投げた。
其の物音に驚いて主翁があがってきた。 「どうなさったのです」 主翁は怒っていた....
「魔王物語」より 著者:田中貢太郎
きな棒のような手が来て重兵衛の首筋を引掴むとともに、外の方へ投りだしてしまった。
其の物音に平太郎は、妖怪が蹄にかかったであろうとおもって、隻手に手燭を点け隻手に....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
はいろ/\な柔かな物が敷いてありまして、其の上に熊の児が三四匹居りました。親熊は
其の物音に驚き、落ちた女に構わず、一散に飛上って件の盗人を噛倒し、尚お驚いて逃出....
「運命のSOS」より 著者:牧逸馬
五分間じっとしていた。取り付けた機械類等が急湍のように船の長さを船首まで走って、
其の物音が轟然と遠くまで耳を聾した。 投げ出された人々の助けを呼ぶ声――その、....
「絶望より生ずる文芸」より 著者:小川未明
思想を働かして自我の充実を求めて行く生活、そして何を見、何に触れるにしても直ちに
其の物から出来るだけの経験と感覚とを得て生活の充実をはかる、此れが即ち人間のなす....