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其れは
「其れは〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
其れはの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「職工と微笑」より 著者:松永延造
、そして、彼は私が犬殺し屋であったのを知ると、大変に悲嘆して私から段々遠退いた。
其れは極めて自然の成り行きである。何故なら、彼は恐ろしい人間嫌いで、その代りに、....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
たのです、茲は未だ此の世です」聞えは聞える様だけれど猶半ばは独言で「未だ死なぬ、
其れは――
其れは大変です、何うしても死なねば成りません、皆なの為に」と呟いた。
....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
大分変った。君が初めて来た頃の彼あばら家とは雲泥の相違だ。尤も何方が雲か泥かは、
其れは見る人の心次第だが、兎に角著しく変った。引越した年の秋、お麁末ながら浴室や....
「断想」より 著者:宮本百合子
、愛に満ちてありたい。 あらゆる悲惨の彼方へ、あらゆる不正と、邪悪との彼方へ!
其れは利己的な、一寸法師の「我」が探求する事なのではないのだ、と想う。お互の魂の....
「弟子の心」より 著者:宮本百合子
先生と云うものに近づき、密接になるように感じる。若し私が筆を控えることがあれば、
其れは、未完成な自分が、先生の全部を知るに足りないものであると云う自覚によるばか....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
派なお家の御新造になるなどは出来ませんので」 周「あれさ、そんな事を仰しゃっても
其れはいかん、貴方のお目から左様でもあろうが、其処がさ、それ、御相談で段々習おう....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
と蕾を付けて、根好く咲いているな、と思って、折々眼に付く度に、そう思っていたが、
其れは既う咲き止んだ。 六月、七月、八月、九月、十月、十一月と、丁度半歳になる....
「お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
の西洋人の寝間着の様なブカブカしたものを夏にさえなれば着させて置いた。 けれ共
其れは何にもつまりはならなくて、若さはその白い着物の下にも重い洗濯物を持ちあげる....
「触覚の世界」より 著者:高村光太郎
時、一晩でも音楽をきかないと焦躁に堪えられない時期があった。今考え合せてみると、
其れは私が制慾剤ルブリンで僅かに一日を支えていた頃の事である。素よりそういう時の....
「母と娘」より 著者:岡本かの子
で語るのですよ。ママ一面の真理があると思うの? アア書き落した一大事があるのよ。
其れは此の世界一の楽園に水が欠乏して居る事よ。一杯の水を飲もうとしても数百年前に....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
めた。彼は中々の横着者で、最初は兎角に自分の素性来歴を包もうと企てたが、要するに
其れは彼の不利益に終った。彼が不得要領の申立をすれば為るほど、疑惑の眼はいよいよ....
「渋温泉の秋」より 著者:小川未明
散歩にならぬだろうと思われた。山国の渋温泉には、西洋人はよく来るであろう。けれど
其れは盛夏の頃である。こう、日々にさびれて、涼しくなるといずれも帰ってしまう。今....
「若き姿の文芸」より 著者:小川未明
しみも、若やかな感じも与えられず、恰かも砂礫のような、乾固したものであったなら、
其れは芸術品としての資格を欠くと謂い得る。芸術には『冷たな』芸術がある。たとえ冷....
「放免考」より 著者:喜田貞吉
いてある。 然らばさも為よと云ひければ、男家に死人を持て行きたれば、妻此れを見て
其れは何ぞと云へば、男しか/″\の事にて此く思うて持ち来るなりと云ひて泣く事限り....
「論語とバイブル」より 著者:正宗白鳥
彼等が後代を動かして今日まで其の勢力の存するを見て、大人物だというかも知れぬが、
其れはほんの偶然の結果である。若し名誉とか不朽の事業とかで尊き者と仮定すれば、基....