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其所
「其所〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
其所の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
所では金の借貸は一切しないから縁者になる川森からでも借りるがいいし、今夜は何しろ
其所《そこ》に行って泊めてもらえと注意した。仁右衛門はもう向腹《むかっぱら》を立....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
ると、驚いた。挨拶にも見えないから、風でもひいてるのかと思うていた岡村の親父は、
其所《そこ》の小座敷で人と碁を打って居る。予はまさかに碁を打ってる人に挨拶も出来....
「俘囚」より 著者:海野十三
。――プーンと、きつい薬剤《やくざい》の匂いが流れて来た。夫の実験室は、もうすぐ
其所《そこ》だ。 夫の部屋の前に立って、あたしは、コツコツと扉《ドア》を叩いた....
「階段」より 著者:海野十三
机の前に坐って手紙らしいものを書いているのを認めた上、図書室の扉を押して入ったが
其所には誰も居なかった。廊下へ通ずる扉が半開きになっているのが鳥渡気になった。僕....
「蠅」より 著者:海野十三
れ三時間は経った。やっと気分もすこし直って来たので、起き上ろうかと思っていると、
其所へ友人が呼んでくれた医師が診察に来てくれた。 その診察の結果をこれからお話....
「文明国には必ず智識ある高等遊民あり」より 著者:内田魯庵
であると云って何も遊民を喜ぶのではない。あっても決して差支えないと言うのである。
其所で、遊民があるとして、無智で下等な遊民の方が好いか、智識ある高等の遊民の方が....
「獄中記」より 著者:大杉栄
。時に洗濯もしてもらう。 「老子の最後から二章目の章の終りに、甘其食、美其衣、安
其所、楽其俗、隣国相望、鶏犬声相聞、民至老死不相往来という、その消極的無政府の社....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
あらば、なんのいなやを申しましょうや。茨の椅子へなりと。」 と言ってきょとんと
其所へ坐った。 ――いよ/\明日巴里祭だというので、いやにはしゃいでいらっしゃる....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
が残ります。いかに御本人が心で無と観じましても、側から観れば、その姿はチャーンと
其所に見えて居ります。しかるに、こちらでは、真実の精神統一に入れば、人間らしい姿....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
達は、悪鬼の如く荒れ狂いながら、陸続として肉体から離れて幽界へなだれ込む。すると
其所には、残忍性にとめる在来の堕落霊どもが、雲霞の如く待ち構えていて、両者がグル....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
。出立つ前に年寄の忠告にも、「旅は明日志す所へ着くというその夜は誰も安心して必ず
其所で竊みに逢うものなり」とありたれば、今宵こそ大事なれとその胴巻を締めたまま臥....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
おぬし一人で渡るのなら、何も這んな悪戯はせんのだが、若い男と連れなのが癪なんだ。
其所で女|奴、死んで了えっ……それとも俺に助けて呉れというか。頼めば船を出してや....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
びテーブルに眼を落し平気で勝負に身を入れ出すと、小田島を掻き※るように急き立てて
其所を離れた。 ――あたし口惜しい。あたし、またあいつに負けちゃった。あの小娘な....
「妖怪学」より 著者:井上円了
旱魃の際、雨を祈る法 その法は、「皇皇上天照臨下土集地之霊神降甘雨庶物群生咸得
其所」(皇々たる上天、下土を照臨して、地の霊を集め、神は甘雨を降らし、庶物は群生....
「絶望より生ずる文芸」より 著者:小川未明
感ぜずには居られないのである。 そして其処には只だ一つ宗教というものがあって、
其所へ逃げて行く事は出来るけれども、又一面より見れば此の宗教という者も、一種の禁....