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其時
「其時〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
其時の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
早いものなア。人の生涯も或階段へ踏みかけると、躊躇なく進行するから驚くよ。しかし
其時々の現状を楽しんで進んで行くんだな。順当な進行を遂げる人は幸福だ」 「進行を....
「姪子」より 著者:伊藤左千夫
てきてやるから、折角丹誠してくれやて、云ったら何んでも眼をうるましたようだった、
其時のあの女の顔をおれは未だに覚えてる、其の後、家のおやじに話して小作米の残り三....
「守の家」より 著者:伊藤左千夫
れられなくなつかしかった。お松もとると十六になるのだと姉が云って聞かせた。お松は
其時只かすかに笑って自分のどこかを見てるようで口は聞かなかった。 朝飯をたべて....
「聖書の読方」より 著者:内村鑑三
に与かるのである。 「我がために人汝等を詬※り又|迫害偽わりて様々の悪言を言わん
其時汝等は福なり、喜べ、躍り喜べ、天に於て汝等の報賞多ければ也、そは汝等より前の....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
スクな闖入者に驚かされましたが、直ぐ眼前の敵である細田氏の姿に眼をうつしました。
其時アッと思う間もなく細田氏はクルリと背後を見せるが早いか蝙蝠傘を拡げたような恰....
「壊れたバリコン」より 著者:海野十三
者か! 相手は何処の無線局であるか? 其処では只今何事が起っているのか? それは
其時に交換した次のような奇怪きわまるモールス符号の会話が、一切を少しずつ明白にし....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
女のお父様である風間氏は、相良氏に殺されたのです。いや、それは全く本当なのです」
其時、隣室にガラガラと壁体の崩れる音がした。若き二人は目を見はって相抱いた。 「....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
?」 「ええ。はっきり覚えてはいないけれど、たしか誰も見えませんでした」 が、
其時何故か変電所の四角な窓が、爛々と輝いていた事を青年は不図思い浮べた。 「困っ....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
た。 「すみませんでしたね。まァこっちへ入り給え」黄色い外套を着た同志は云った。
其時この二つの公衆電話の甲乙とも相手のベルが喧しく鳴っていた。 甲の方の電話は....
「豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
う記憶がある。「玉突場の一隅」を褒めたら、あれは左程自信がないと云ったのも恐らく
其時だったろう。それから――後はみんな、忘れてしまった。が、兎に角、世間並の友人....
「科学時潮」より 著者:海野十三
う。怪人は人間より遥かに強かった。又学術的に勝れた頭脳を持っているようであった。
其時、汽笛のような音響がした。死の谷に立ちのぼる白気は愈々勢いを増した。怪人は一....
「人狼」より 著者:岡本綺堂
ロ まあ、落付かなければいけません。それからあなたは何うしました。 おいよ もう
其時には……。わたくしの心は狼のようになっていたのでござります。あても無しに往来....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
、それが為に忠一さんを態々呼び戻すにも及ぶまい。どうで歳暮には帰郷するのだから、
其時まで延しても差支はあるまいと……。」 「それも然うですが……。」と、お政は娘....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
る、私は苫を解すで、又二度めの戦争が始まりましたが、どうかこうか抄い上げました。
其時私は、思はず鱸の上に四ん這いになって、「今度は逃がすものか、跳ねるなら跳ねて....
「草木の暗示から」より 著者:小川未明
り返されたと信ずるものです。そして、理性がついに戦いに打勝ったと信ずるものです。
其時からの文明こそ本当の輝きある文明であって、其の後に来る、進歩した人間の生活が....