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「典医〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

典医の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
阿部一族」より 著者:森鴎外
志して参勤《さんきん》の途《みち》に上ろうとしているうち、はからず病にかかって、典医の方剤も功を奏せず、日に増し重くなるばかりなので、江戸へは出発日延べの飛脚が....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ては言うまでもなく、寛斎留守中は大垣の医者を頼み、おりから木曾路を通行する若州の典医、水戸姫君の典医にまですがって診察を受けさせたことも書いてよこした。とうとう....
縮図」より 著者:徳田秋声
んて、君の口癖にいうその親爺さんどんな人なんだい。」 「何でもお父さんが佐倉の御典医だったというから、家柄はいいらしいんだけれど、あの父さんは確かに才子ではある....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
え先生、こうして旅へ出て来れば、先生様は御番料《ごばんりょう》を千俵もいただく御典医で、拙《せつ》は蔵前《くらまえ》の旦那衆というような面《かお》をしたって誰も....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
根から落ちたか、杢若どの。……親は子に、杢介とも杢蔵とも名づけはしない。待て、御典医であった、彼のお祖父さんが選んだので、本名は杢之丞だそうである。 ――時に....
錦木」より 著者:宮本百合子
こからの手紙に貴方の気分がすぐれないようだと云って来ましたが、もし体がわるければ典医を上げても好い――気に入った僧に御いのりをしてもろうてもいいでしょう。若い人....
戯作者」より 著者:国枝史郎
ない。止むを得ず戸田侯の徒士となったり旗本邸を廻り歩いたり、突然医家を志し幕府の典医|山本宗英の薬籠持ちとなって見たり、そうかと思うと儒者を志願し亀田|鵬斎の門....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
にお納戸色の十徳、色の白い鼻の高い、眼のギョロリとした凄味のある坊主、一見すると典医であるが、実は本丸のお数寄屋坊主、河内山宗俊が立っていた。 「おや、これは河....
南国太平記」より 著者:直木三十五
ような、化物のような奴が、こっちを見ているような気がした。 左右の次の間には、典医と、侍女と、宿直《とのい》の人々とがいたが、物音も、話声もしなかった。 寛....
つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
、匙《さじ》一本で千代田の大奥に伺候したことさえあるので、いまだに相良玄鶯院と御典医名で呼ばれている名だたる蘭医《らんい》、野に下ってもその学識風格はこわ面《も....
壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
たと悔いた。そうして声高く、 「胡散の者では御座らぬ。三面村へ参る者。米沢藩の御典医の一行が、薬草採りに参ったのじゃ」 そう呼んだけれど、婦人は振向いても見な....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
のこりぬ七十路の身の 祖父 森の家は、石州津和野の城主亀井家に代々仕えた典医でした。亀井家は元和三年に津和野に封ぜられてから十二代になり、森は慶安から天....
乳を刺す」より 著者:邦枝完二
とでござろう」 十年の長い間、病床に引き籠ってはいるものの、以前は松平伊予守の典医を勤めていた真斎とて、その言うところは、人柄をしのばせるものがあった。 「で....
三国志」より 著者:吉川英治
へ迫った。 張均は、あッと驚きのあまり昏倒してしまった。 手当されて、後に、典医から薬湯をもらったが、それを飲むと眠ったまま死んでしまった。 張均は、その....
三国志」より 著者:吉川英治
を胸に受けながら、将校たちは急に厳粛な無言を守り合っていた。 手当てに来ていた典医がそっと戻って行った。典医の顔も憂色に満ちている。それを見ただけで、幕僚たち....