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兼ねて
「兼ねて〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
兼ねての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門の後に」より 著者:芥川竜之介
当時、発表する意志も、発表する機関もなかった自分は、作家と読者と批評家とを一身に
兼ねて、それで格別不満にも思わなかった。尤《もっと》も、途中で三代目の「新思潮」....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
の長さをぶらりと唇の上にぶら下げているではないか。
所がある年の秋、内供の用を
兼ねて、京へ上った弟子《でし》の僧が、知己《しるべ》の医者から長い鼻を短くする法....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
一寸ずつ、辷る音まではっきりと聞きとれそうに思われました。
その中に私の甥は、
兼ねて目星をつけて置いたのでございましょう、加茂川《かもがわ》の細い流れに臨んで....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
別釣に執着があった訳でもありませんから、早速彼の発議《ほつぎ》に同意して、当日は
兼ねての約束通り柳橋の舟宿《ふなやど》で落合ってから、まだ月の出ない中に、猪牙舟....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
こん》は助太刀の請《こい》を却《しりぞ》けられると、二三日家に閉じこもっていた。
兼ねて求馬《もとめ》と取換した起請文《きしょうもん》の面《おもて》を反故《ほご》....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
。」と云う。丹波先生はやはり自分たちの級に英語を教えていたが、有名な運動好きで、
兼ねて詩吟《しぎん》が上手だと云う所から、英語そのものは嫌っていた柔剣道の選手な....
「竜」より 著者:芥川竜之介
吹く気色《けしき》はございませんでしたが、それでも今日《きょう》と云う今日を待ち
兼ねていた見物は、奈良の町は申すに及ばず、河内、和泉、摂津、播磨、山城、近江、丹....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
とわたしの話を御促《おうなが》しになりました。
わたしは思わず眼を伏せました。
兼ねて覚悟はしていたものの、いざ申し上げるとなって見ると、今更のように心が怯《お....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
ぎり、未《いまだ》にどうなったかわかりません。私は危みます。妻は世間の圧迫に耐え
兼ねて、自殺したのではございますまいか。
世間はついに、無辜《むこ》の人を殺し....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
顔を、――殊に彼女の目を考えていた。
僕が病院へ帰って来ると、僕の父は僕を待ち
兼ねていた。のみならず二枚折の屏風《びょうぶ》の外に悉く余人を引き下らせ、僕の手....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
首に処せられた。これは「修理病気に付、禁足申付候様にと屹度《きっと》、板倉佐渡守
兼ねて申渡置候処、自身の計らいにて登城させ候故、かかる凶事出来《きょうじしゅった....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
――すべてが現代の青年には、荒唐無稽《こうとうむけい》としか思われない事ですが、
兼ねてあの婆の怪しい呪力《じゅりき》を心得ている泰さんは、さらに疑念を挟む気色も....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
いわず、口といわず、ばらばらと遠藤の顔へ焼きつくのです。 遠藤はとうとうたまり
兼ねて、火花の旋風に追われながら、転げるように外へ逃げ出しました。 三....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
人の王様が、まっ黒な袍に金の冠をかぶって、いかめしくあたりを睨んでいます。これは
兼ねて噂に聞いた、閻魔大王に違いありません。杜子春はどうなることかと思いながら、....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
見に行ったり、ヂェンニイ・リンドの歌うのを聞きに行った。 時々は用事と保養とを
兼ねて旅行もした。英国科学奨励会にもよく出席した。一八三七年リバープールにこのア....