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円
「円〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
円の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
角《かど》に立っているポスト。ポストはいつか透明になり、無数の手紙の折り重なった
円筒の内部を現して見せる。が、見る見る前のようにただのポストに変ってしまう。ポス....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
》の盃《さかずき》を干《ほ》してから、大仰《おおぎょう》に一同の顔を見まわした。
円卓《テエブル》のまわりを囲んでいるのは同じ学校の寄宿舎にいた、我々六人の中年者....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
へ行く時は、必ず眼鏡《オペラグラス》を持って行ったので、勝美《かつみ》夫人もその
円《まる》い硝子《ガラス》の中に、燃え立つような掛毛氈《かけもうせん》を前にして....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
いた。
が、兵衛はいつまで経っても、ついに姿を現さなかった。
大団
円
甚太夫《じんだゆう》主従は宿を変えて、さらに兵衛《ひょうえ》をつけ狙った....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
は美人と云うほどではない。しかしちょいと鼻の先の上った、愛敬《あいきょう》の多い
円顔《まるがお》である。
お嬢さんは騒《さわ》がしい人ごみの中にぼんやり立って....
「女」より 著者:芥川竜之介
んだん枝の先へまつわり出した。
しばらくの後《のち》、そこには絹を張ったような
円錐形《えんすいけい》の嚢《ふくろ》が一つ、眩《まばゆ》いほどもう白々《しろじろ....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
だ》に桜の散っていること、鶺鴒《せきれい》の屋根へ来ること、射的《しやてき》に七
円五十銭使ったこと、田舎芸者《いなかげいしゃ》のこと、安来節《やすきぶし》芝居に....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
た、その放埓に欺かれた同志の疑惑をも解かなければならなかった。山科《やましな》や
円山《まるやま》の謀議の昔を思い返せば、当時の苦衷が再び心の中によみ返って来る。....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
一
雨降りの午後、今年中学を卒業した洋一《よういち》は、二階の机に背を
円《まる》くしながら、北原白秋《きたはらはくしゅう》風の歌を作っていた。すると「....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
に、一人でもああ云う小説を真《ま》に受ける男女があって御覧なさい。もっとも恋愛の
円満《えんまん》に成就《じょうじゅ》した場合は別問題ですが、万一失恋でもした日に....
「運」より 著者:芥川竜之介
。見ると、人間とも海鼠《なまこ》ともつかないようなものが、砂金の袋を積んだ中に、
円《まる》くなって、坐って居ります。――これが目くされの、皺《しわ》だらけの、腰....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
こう呟いた遠藤は、その紙切れを、拾い上げながらそっと隠した懐中電燈を出して、まん
円な光に照らして見ました。すると果して紙切れの上には、妙子が書いたのに違いない、....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
大願成就なさしめたまえと明神の祠を遙拝して、末|覚束なき旅に上りぬ。路用として六
円余、また東京へ着して三四ヶ月の分とて三十
円、母が縫いて与えられし腹帯と見ゆる鬱....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
その後方に暖炉や黒板があり、壁には図面などが掛かるようになっている。机の前には半
円形になった聴講者の腰掛がならべてあり、一列毎に段々と高くなり、その上には大向う....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
は喉を締めた。力一杯締めつけた。子供は怖い眼で私を睨んだ。何という眼だろう。まん
円で、深く、澄んでいて、私はぞッとした。私は今日が今日まで、この時ほど残忍な感動....