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「円い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

円いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
して来た。――お蓮はいつか大勢《おおぜい》の旅客と、薄暗い船室に乗り合っている。円い窓から外を見ると、黒い波の重《かさ》なった向うに、月だか太陽だか判然しない、....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
同時に又突然向うのボオトのぐいと後《あと》ずさりをする錯覚を感じた。「あの女」は円い風景の中にちょっと顔を横にしたまま、誰かの話を聞いていると見え、時々微笑を洩....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
《ことごとく》こう云う信念に安んじている。 これは進化論ばかりではない。地球は円いと云うことさえ、ほんとうに知っているものは少数である。大多数は何時か教えられ....
誘惑」より 著者:芥川竜之介
24 「さん・せばすちあん」の右の耳。耳たぶの中には樹木が一本累々と円い実をみのらせている。耳の穴の中は花の咲いた草原《くさはら》。草は皆そよ風に動....
婦系図」より 著者:泉鏡花
は、キラリ目金を向けて、じろりと見ると、目を細うして、髯の尖をピンと立てた、頤が円い。 「こちらへ、」 と鷹揚に云って、再び済まして書見に及ぶ。 お妙は扉に....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
順序になるはずである。しかるに月面に投じた影の輪郭が円形であるから、従って地球は円いものであるという結論をしたに相違ない。ところが地球のどちら側が月に面していて....
海異記」より 著者:泉鏡花
した五足ばかりを、一飛びに跳ね返って、ひょいと踞み、立った女房の前垂のあたりへ、円い頤、出額で仰いで、 「おい、」という。 出足へ唐突に突屈まれて、女房の身は....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
が妙に鬱ぎ出しやがった。鬱ぐもおかしい、そう仰山なんじゃ無えが、何かこう頭の中で円い玉でもぐるぐる廻して見て居る様な面付をして居やあがる。変だなと思ってる中に、....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
て、……つつじ、藤にはまだ早い、――荒庭の中を覗いている――絣の筒袖を着た、頭の円い小柄な小僧の十余りなのがぽつんと見える。 そいつは、……私だ。 夢中でぽ....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
うに灯影が映る時、八十年にも近かろう、皺びた翁の、彫刻また絵画の面より、頬のやや円いのが、萎々とした禰宜いでたちで、蚊脛を絞り、鹿革の古ぼけた大きな燧打袋を腰に....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
ながら蝶が羽繕いをする心地であった。 まだ十歩と離れぬ。 その物売の、布子の円い背中なぞへ、同じ木賃宿のそこが歪みなりの角から、町幅を、一息、苗代形に幅の広....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
――灯が一煽、山気が颯と座に沁みた。 「一昨晩の今頃は、二かさも三かさも大い、真円いお月様が、あの正面へお出なさいましてございますよ。あれがね旦那、鏡台山でござ....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
んで、脊骨……へ飛上る。浅草の玉乗に夢中だったのだそうである。もっとも、すぺりと円い禿頭の、護謨、護謨としたのには、少なからず誘惑を感じたものだという。げええ。....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
柔かい敷物が敷きつめられて居り、そして正面の棚見たいにできた凹所が神床で、一つの円い御神鏡がキチンと据えられて居るばかり、他には何一つ装飾らしいものは見当りませ....
罪人」より 著者:アルチバシェッフミハイル・ペトローヴィチ
誰の腕だか分からなかった。黒い筒袖を着ている腕が、罪人の頭の上へ、金属で拵えた、円い※のようなものを持って来て、きちょうめんに、上手に、すばやく、それを頸の隠れ....