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「円転〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

円転の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
命さえすればいいつもりで、御嬢さんの意向までは確かめて来なかったのである。従って円転|滑脱《かつだつ》の鈴木君もちょっと狼狽《ろうばい》の気味に見える。 「だろ....
旅愁」より 著者:横光利一
こにもここにも白い杏の花が咲き溢れて来て、やがてローヌ河が汽車と共にうねり流れ、円転自在に体を翻しつつもどこまでも汽車から放れようとしなかった。 矢代はしだい....
惜別」より 著者:太宰治
すかさず平素の御無音をついでに謝した。 「いや、僕こそ。」と外交官の甥はさすがに円転|滑脱である。「あの晩は酔いすぎて、僕はたいへんいけませんでした。あとで、僕....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
で、権力を得んとて突進する一平民に見るような貪欲《どんよく》をそなえていた。また円転滑脱で、環境と相手とに従って様子を変えるのが巧みで、もっともらしい様子でよく....
貞操問答」より 著者:菊池寛
いい人なんですけれど。」 「ふむ。」準之助氏は止むを得ずうなずいた。夫人がこうも円転滑脱、弁舌さわやかに、自分の立場を明らかにした以上、こっちからそれを崩しにか....
豊竹呂昇」より 著者:長谷川時雨
去春は毎朝窓ちかくへ来て鳴いてくれたあの声、鶯は日中は遠く近くをゆきかえりして円転と嬌音をまろばした。あの友だちが一日もはやく来てくれるといいと思いながら、夜....
今昔茶話」より 著者:国枝史郎
レーランの如きは、もっとも彼を敬重し、何彼と好意を寄せた。 彼の堂々たる、又、円転滑脱たる外交ぶりは、ざっと次のような有様だったのである。 難問題に就いて、....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
喜兵衛、又の名を小林城三といった油会所の手代であった。が、伊藤八兵衛の智嚢として円転滑脱な才気を存分に振ったにしろ、根が町人よりは長袖を望んだ風流人|肌で、算盤....
三国志」より 著者:吉川英治
して、さらに、彼自身、督戦に向った。 一面蜀を打ち、一面魏を迎え、この間、神速円転、用兵の妙を極めた陸遜の指揮のために、呉は何らのうろたえもなく、堂々、三道の....