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冒す
「冒す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冒すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
保吉はやや憂鬱《ゆううつ》に云った。
「だが、賞与さえ出るとなれば、誰でも危険を
冒すかどうか?――そいつもまた少し疑問ですね。」
大浦は今度は黙っていた。が、....
「或る女」より 著者:有島武郎
ろ》を心得ていて、葉子から離れてまじめにすわり直した。こんな時うっかりその威厳を
冒すような事でもすると、貞世にでもだれにでも葉子は少しの容赦もしなかった。しかし....
「星座」より 著者:有島武郎
より、どういう風に気持が動いているかを厳しく看守しながら、いささかでも父の権威を
冒すような風があったら、そのままにはしておかないぞというように見えた父の顔……自....
「乱世」より 著者:菊池寛
処せられて、当家の祭祀が絶えてしまうようなことがないとも限らない。そうした危険を
冒すよりも、今日の場合は、一日も早く朝廷に謝罪恭順して、桑名松平家の社稷を全うす....
「運命」より 著者:幸田露伴
則ち帝|丘福を尤めて、而して福と其死を同じゅうする也。帝勇武を負い、毎戦|危きを
冒す、楡木川の崩、蓋し明史諱みて書せざるある也。 数か、数か。紅篋の度牒、袈裟....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
とは、事の第一原因たる吾が女主人の非行に触れること無く、又此|家の老主人の威厳を
冒すことも無く、巧みに一枝の笛を取返すことの必要を此家の主人に会得させ、其の力を....
「推理小説論」より 著者:坂口安吾
「アクロイド殺し」はアリバイをつくるために蓄音機を使い、それを取りもどす危険を
冒す必要があった。そしてその仕掛けに要したちょッとの時間、五分ほどの差によって、....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
的態度を崩さずにいた。あるいはこれを装って芸術に臨んでいたといっても好い。そして
冒すべからざる冷静沈著のうちに、やがてその一生を終った。一毫の差をもゆるがせにし....
「フシギな女」より 著者:坂口安吾
万円ひきだすのを成就するために山口が起きたら殺そうと九時ごろまで待ちぶせる危険を
冒すほど冷静大胆な犯人なら、山口を確実に殺す方が安全だという当然な結論を忘れる筈....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
庚申山は閲す幾春秋 賢妻生きて灑ぐ熱心血 名父死して留む枯髑髏 早く猩奴名姓を
冒すを知らば 応に犬子仇讐を拝する無かるべし 宝珠是れ長く埋没すべけん 夜々精光....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
、頤、咽喉下から、肩、順々に――最後に両方の耳の根を打つ。最々後に、絶対の危険を
冒す全世界の放れ業だ、と怯かして、裸身の犠牲の脳頭を狙う時は、必ず、うしろ向きに....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
倉からも出征した、東海|東山中国からも出征した。其当時、飛騨国の地頭職は藤原姓を
冒す飛騨判官朝高という武将で、彼も蒙古退治の注進状に署名したる一人であった。 ....
「国号の由来」より 著者:喜田貞吉
ころの唐書には、日本はもと小国にして、倭の併合するところとなり、よりて日本の号を
冒すなどと、とんでもない誤説を伝え、また旧唐書には、日本が倭を併合したと、全然反....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
くのお役を拒絶しようか、たちまち彼は女王の御機嫌をそこね、現実に処罰される危険を
冒すこととなる。これは彼にとって、一生の運の終末を意味するだろう。たしかに、こん....
「妖影」より 著者:大倉燁子
本の指もみな無事について居ります。 愛国心に燃ゆる吾々が、ある目的のため危険を
冒す場合に演じる一幕は、役者が命がけでやっている芸なのですから、見物人が魂を奪わ....