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冗漫
「冗漫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冗漫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
ですから、私は以上のお願いを敢て致しました。猶《なお》これから書く事も、あるいは
冗漫《じょうまん》の譏《そしり》を免れないものかも知れません。しかし、これは一方....
「アッシャー家の崩壊」より 著者:佐々木直次郎
よりも悲しい冗談で言ったのだ。なぜかといえば、この書物のまずい、想像力にとぼしい
冗漫さのなかには、たしかに、友の高い知的の想像力にとって興味を持つことのできるも....
「童話における物語性の喪失」より 著者:新美南吉
易に首肯される。文章をひきのばす努力のため、簡潔と明快と生気がまず失われ、文章は
冗漫になり、あるいはくどくなり、あるいは難解にして無意味な言葉の羅列になった。同....
「条件反射」より 著者:豊島与志雄
た手紙の一節。――「原稿用紙なんか使って、御免下さい。先生はいつぞや、私の手紙が
冗漫でくどくて要領を得ないと、叱るように仰言ったことがございましたわ。あれから、....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ゆる国の言葉から、一つの混合的隠語をこしらえていた。それは衒学《げんがく》的で、
冗漫で、古典的で、叙情的で、気取りすぎた、嫌味《いやみ》たらしい、下等なものであ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ルブラン氏は自ら問うようなふうだった。「この男はばかなのかな?」ジョンドレットは
冗漫と懇願とのあらゆる調子で二、三度くり返した。
「川にでも身を投げるよりほか、....
「自然現象の予報」より 著者:寺田寅彦
顧みずここに二、三の問題を提起して批判を仰ぐ所因もまたこれに外ならず。ただ徒らに
冗漫の辞を羅列して問題の要旨に触るるを得ざるは深く自ら慚ずる所なり。これに依って....
「「刺青殺人事件」を評す」より 著者:坂口安吾
く、こねまわしているから、後半が読みづらい。三分の二が解決篇みたいなもので、その
冗漫が、つらい。将棋をやって、犯人をテストするなど、バカバカしくて、堪えがたいも....
「推理小説論」より 著者:坂口安吾
かして読者を煙にまいている稚気のほども面白くはあるが、素人の悲しさに文章がヘタで
冗漫すぎること、したがって、衒学ぶりが軽快さを失って、作品を重くし、退屈にしてい....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
。蕪村は漢語をも古語をも極端に用いたり。佶屈なりやすき漢語も佶屈ならしめざりき。
冗漫なりやすき古語も
冗漫ならしめざりき。野卑なりやすき俗語も野卑ならしめざりき。....
「ヴアン・ダインの作風」より 著者:平林初之輔
切り捨てねばならなかった。普通の探偵小説では、切りすてるということは容易である。
冗漫な描写や、わき道へそれたところなどはかえって捨てて圧縮した方が効果的になる場....
「チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
るからである。既に『わびしい話』にしてからが、物語的要素のムーヴマンとしては寧ろ
冗漫さを歎かせるに過ぎず、一種の情感的ムーヴマンとして受用する場合にはじめて美し....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
にも見せてくださいまし。「百合の谷」の所感などは、謙さんへの手紙に譲りましょう。
冗漫な、乱れた手紙になりまして失礼いたしました。くれぐれも御自重なさいまし、夏に....
「春心」より 著者:田中貢太郎
ん」 老人は吃驚したように眼を開けて広巳を見た。 「あ、今の壮佼か」 広巳は
冗漫な口を利きたくなかった。 「それよりも爺さん、今の女を知ってるかい」 老人....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
え、実はそのお。」で、やや罅の入った重い濁り声で、咄弁でもなく雄弁でもなく、ただ
冗漫言をだらだらと素麺式に扱いてゆくだけであるので驚いた。質問の要点には少しも触....