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冥土
「冥土〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冥土の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
の咽喉《のど》から出たものではない。まず前《さき》の世のこの白痴《ばか》の身が、
冥土《めいど》から管でそのふくれた腹へ通わして寄越《よこ》すほどに聞えましたよ。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
る空に月のごとき、若竹座を忍んで出た、慈善市の光を思うにつけても、横町の後暗さは
冥土にも増るのみか。裾端折り、頬被して、男――とあられもない姿。ちらりとでも、人....
「春昼」より 著者:泉鏡花
て、入相の浪も物凄くなりかけた折からなり、あの、赤鬼青鬼なるものが、かよわい人を
冥土へ引立てて行くようで、思いなしか、引挟まれた御新姐は、何んとなく物寂しい、快....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
。 図書 やあ、何のために貴女が、美しい姫の、この世にながらえておわすを土産に、
冥土へ行くのでございます。 夫人 いいえ、私も本望でございます、貴方のお手にかか....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
、いかさま、いや、若様。あれは水晶の数珠にございます。海に沈みまする覚悟につき、
冥土に参る心得のため、檀那寺の和尚が授けましたのでござります。 公子
冥土とは?....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
北海道は、すぐに俺の邸の周囲じゃ。 初の烏 はあ、(驚く。) 紳士 俺の旅行は、
冥土の旅のごときものじゃ。昔から、事が、こういう事が起って、それが破滅に近づく時....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
と、じろじろと見るのである。 覚悟しながら戦いて、 「ここは、ここは、ここは、
冥土か。」 と目ばかり働く、その顔を見て、でっぷりとした頬に笑を湛え、くつくつ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
海へ入れられるが気安いような、と島も海も目に見えて、ふらふらと月の中を、千鳥が、
冥土の使いに来て、連れて行かれそうに思いました。……格子|前へ流しが来ました。 ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
。聞かせましょうか。それともお前さんは御存じかい。」 幕の内で、 「朧気じゃ、
冥土の霧で朧気じゃ。はっきりした事を聞きたいのう。」 「ええ、聞かしてあげましょ....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
尚どのと同じ側の向うの隅で、腰を落しつけて、何か、のかぬ中の老和尚、死なば後前、
冥土の路の松並木では、遠い処に、影も、顔も見合おうず、と振向いて見まするとの……....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
、貴方にも美津さんにも、済まん事や思うたによってな。 違うたかえ、分ったかえ、
冥土へ行てかて、二人をば並べておく、……遣瀬ない、私の身にもなってお見や。」 ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
り、白銀黄金、水晶、珊瑚珠、透間もなく鎧うたるが、月に照添うに露|違わず、されば
冥土の色ならず、真珠の流を渡ると覚えて、立花は目が覚めたようになって、姿を、判然....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
て、畦へ腰を突いたっけ、木曾殿落馬です。 お察し下さい、今でこそ話すが、こりゃ
冥土へ来たのかと思った。あの広場を手探りでどうするもんかね。…… 背後の足弱が....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
に、男のあとを追いもならず、生長らえる効もないので。 そぞろに門附を怪しんで、
冥土の使のように感じた如きは幾分か心が乱れている。意気張ずくで死んで見せように到....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、沙魚などを降らせました。 竜巻がまだ真暗な、雲の下へ、浴衣の袖、裾、消々に、
冥土のように追立てられる女たちの、これはひとり、白鷺の雛かとも見紛うた、世にも美....