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冷
「冷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
30
同じ劇場の裏の上部。火のともった窓には踊り子が一人現れ、
冷淡に目の下の往来を眺める。この姿は勿論《もちろん》逆光線のために顔などははっき....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
にやりと酔《よ》った人の微笑を洩《も》らした。
「そうかも知れない。」
飯沼は
冷然と受け流してから、もう一度和田をふり返った。
「誰だい、その友だちというのは....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
た。喜三郎も羽織は着なかったが、肌《はだ》には着込みを纏《まと》っていた。二人は
冷酒《ひやざけ》の盃を換《か》わしてから、今日までの勘定をすませた後、勢いよく旅....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
ないけれどもいきなり舌を出すとか、あかんべいをするとかはしそうである。彼は内心|
冷《ひや》ひやしながら、捜《さが》すように捜さないようにあたりの人々を見まわして....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
》な考えは、少しもはいって来なかった。彼はただ、春風《しゅんぷう》の底に一脈の氷
冷《ひれい》の気を感じて、何となく不愉快になっただけである。
しかし、内蔵助《....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
樹《なみき》の間から、磨《みが》いたガラス板のように、青く光る大川の水は、その、
冷やかな潮のにおいとともに、昔ながら南へ流れる、なつかしいひびきをつたえてくれる....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
主筆 それから決闘にでもなるのですか?
保吉 いや、ただ夫は達雄の来た時に
冷かに訪問を謝絶《しゃぜつ》するのです。達雄は黙然《もくねん》と唇《くちびる》を....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
敬。」
「さようなら。」
HやNさんに別れた後《のち》、僕等は格別急ぎもせず、
冷びえした渚を引き返した。渚には打ち寄せる浪の音のほかに時々澄み渡った蜩《ひぐら....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
かり蛇笏を賞讃したら、赤木は透かさず「君と雖も畢に蛇笏を認めたかね」と大いに僕を
冷笑した。僕は「常談云っちゃいけない。僕をして過たしめたものは実は君の諳誦なんだ....
「狂女」より 著者:秋田滋
老いた下婢がひとり彼女のそばに附いていて、その女が時折り飲物をのませたり、小さな
冷肉の片を口のところまで持っていって食べさせてやったりしていた。絶望の底にあるこ....
「初雪」より 著者:秋田滋
間にいても、食堂にいても、居間にいても、どこにいても寒さに悩まされた。骨の髄まで
冷たくなってしまうような気がした。良人は夕餉の時刻にならなければ帰って来なかった....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
こまやかなるを記さんとしては、思わず人の嘲笑を招くこともあるべければ、それらの情
冷かになりそれらの譏遠くなりての後にまた筆を執ることを楽むべし。....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
、どのガス体でも、ことにその頃まで永久ガスといわれておったものでも、充分な圧力と
冷却を加えれば、液体とも固体ともなることが判明した。 翌一八二四年には、油に熱....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
をあてがわれ、他人の残りものを食べて露命をつなぎ、夜はまた夜で、寒さに悩みながら
冷たい板の間で旅寐の夢をむすぶ身となった。こうした苦労がつもり積って、夫婦はめっ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
だ小さな穴のみをうがち、生命をつくりあげている血が流れるのを眺め、それが柔かな、
冷たい、動かない、考えることもしない一塊りの肉にほかならないと思うのは、必ずや不....