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「冷や冷や〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

冷や冷やの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
美少女」より 著者:太宰治
あった。早朝、練兵場の草原を踏みわけて行くと、草の香も新鮮で、朝露が足をぬらして冷や冷やして、心が豁然《かつぜん》とひらけ、ひとりで笑い出したくなるくらいである....
職工と微笑」より 著者:松永延造
、或る秘密なミニエチュアを二枚合せにして蔵している。それは海の中にある極楽の様に冷や冷やとした画であるが、見ていると記憶が乱れ切って了う様に、四ツの焦点が注意を....
満韓ところどころ」より 著者:夏目漱石
の気も知らないで、例の御者《ぎょしゃ》が無敵に馬を馳《か》けさせる。いらぬ事だと冷や冷やしているうちに、一カ所路の悪い所へ出た。原因は解らないが、轍の迹が際立《....
うつり香」より 著者:近松秋江
起き出て明けてくれた雨戸からそうっとはいりこんだ。夏の夜更けの、外は露気を含んで冷や冷やと好い肌触りだけれど部屋の中は締め込んでいるのでむうっと寝臭い蚊帳の臭い....
」より 著者:徳田秋声
胸の悩みがいつも吸い取られるようであった。 まだ灯も点さない家のなかは、空気が冷や冷やして薄暗かった。お銀はちょうど茶の室の隅の方に坐って、腹を抑えていた。台....
伸子」より 著者:宮本百合子
に云って下さいませんか」 という父の声がした。 寝衣のつめたいこと! シイツの冷や冷やすること! 冷たく、寒く、あまり寒いので、伸子はウワワワワワ歯を鳴らしな....
加護」より 著者:宮本百合子
に、胸が苦しいと云っては暫く横になることがあると説明した。 時には、指の先まで冷や冷やになり、気でも遠くなるのではあるまいかと思うことさえある、と云う。 女....
親友交歓」より 著者:太宰治
でなくても、子供が障子を破り、カーテンを引きちぎり、壁に落書などして、私はいつも冷や冷やしているのだ。ここは何としても、この親友の御機嫌を損じないように努めなけ....
善蔵を思う」より 著者:太宰治
、みんな、あなたの畑なんでしょうか。」かえって私のほうが、腫物にでも触るような、冷や冷やした気持で聞いてみた。 「そうです。そうです。」すこし尖った口調で答えて....
」より 著者:太宰治
てらてら黒光りのする欅普請の長い廊下をこわごわお厠のほうへ、足の裏だけは、いやに冷や冷やして居りましたけれど、なにさま眠くって、まるで深い霧のなかをゆらりゆらり....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
ることになっていた。世子と共に私も下りて見たが、上下周囲凡て石造で暗黒な上に身も冷や冷やする。ここは終に落城という時に、君公や近習等の者が自殺するために設けられ....
秋風」より 著者:宮本百合子
秋風が冷や冷やと身にしみる。 手の先の変につめたいのを気にしながら書斎に座り込んで何....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
したのか。垢染み過ぎた蝶散らしの染浴衣。白地の多いだけに秋も初めとは云いながら、冷や冷やと見すぼらしく。帯も細く皺だらけで、貧弱さと云ったら無いので有った。頭髪....
初夢」より 著者:正岡子規
キサ。暫く振りで薩摩下駄を穿《は》くんだが、非常に穿《は》き心地がいい。足の裏の冷や冷やする心持は、なまゆるい湯婆《たんぽ》へ冷たい足の裏をおっつけて寒がってい....
由布院行」より 著者:中谷宇吉郎
か》け昇るような気がする。岩を越して、その裏に脈々として続く道を見るまでは、随分冷や冷やすることもある。時々ふり返ると、別府湾がだんだん低く小さくなって行く。登....