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「冷涼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

冷涼の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
海豚と河豚」より 著者:佐藤垢石
葉おろし、さらし葱、わけぎの薬味。それから加役として豆腐、茄子、新菊など。もう、冷涼の秋がきた。ちり鍋、すき焼き鍋、雑炊鍋。思い出しただけで、舌端に魔味迫り来た....
香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
えいでいるというのに、土用が終わって一旬も過ぎると、奥山の深い谿々の底には、もう冷涼の気が忍びやかにうかがい寄って、崖の小草を悲しませる。そして、里川の水は、日....
わが童心」より 著者:佐藤垢石
んでいるけれど、私は秋の榛名に傾倒している。九月の末になって、峰の初霜から次第に冷涼が加わってくると、榛名は嶺の草原から紅くなる。十月に入ると、もう朝寒むである....
雨の上高地」より 著者:寺田寅彦
て近頃出来上がったばかりだそうであるが、樹々も路面もしっとり雨を含んで見るからに冷涼の気が肌に迫る。道路の真中に大きな樹のあるのを切残してあるのも愉快である。 ....
海豹島」より 著者:久生十蘭
た静寂に充たされ、氷原は波のうねりがそのまま凍りついて、死滅した月の表面のような冷涼たる趣きを呈し、十尋の底まで透けるかと思われるほど透明で、ぞっとするような物....
墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
くと感じた。 空は低く、重苦しく、物悲し気だった。 乳白色の濃い霧の間から、冷涼たるコンスタンツァの原野の景色が、時々、ぼんやりとよろめき出してはまた、漠々....
自力更生より自然力更生へ」より 著者:三沢勝衛
れる現状に対しては、深く考えさせられるのでございます。私はそれよりも、この信州の冷涼な気候を利用しまして、できる限り品質のよい大根を作り、純粋の大根と米糠といっ....
三国志」より 著者:吉川英治
局はいっこう革まる様子もなく、秋はすでに満地の草の花に見えて、朝夕の風はようやく冷涼を帯びてきた。 「蜀の陣上には、一抹、何やら淋しきものが見える」 仲達はあ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
って、歯牙にもかけぬ風だった。 秋は、駆け出してきた。ここへ来て、めッきり風は冷涼だった。 八月の五日。 高氏はめずらしく、左兵衛ノ督の衣冠で、参内した。....