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冷雨
「冷雨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
冷雨の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
るさぬ。」決闘の約束をしてしまった。 その約束の日、由良氏は家を出ようとして、
冷雨《ひさめ》びしょびしょ。内へひきかえして、傘さして出かけた。申し合せたところ....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
寺の前の暗がりにふと金木犀のにおいを光らせて降る雨は、はや一雨一雨冬に近づく秋の
冷雨だった。 ぶるッと体をふるわせて、カラ子は四条通りの交叉点を河原町通りへ折....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
闘機の武勲もほとんど新聞に出ない。 一月十二日 ◯昨夜モ敵三回来襲ス、薄雪アリ
冷雨時ニ落チ冷エ込ムコト甚シ、遠方ニ男女ノ警防団員ノ声ス、皇土ヲ護ル当代ノ人々ナ....
「『静かなる愛』と『諸国の天女』」より 著者:宮本百合子
ぎり食べて肥ゆるなつかしき五月を溌剌とうたっている。暖くきらめく作者の感動は、「
冷雨」において 苦悩が 衆生のものでなくして 私ひとりのものであったら 何を ....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
て、とうとう横手の窓をポーンと明けると、鏡を手文庫ごと窓外に放りだした。闇の中に
冷雨にそぼぬれていた熊笹がガサッと、人間を袈裟がけに切ったような無気味な音を立て....
「連環記」より 著者:幸田露伴
の温い生活を楽んでいる際に当って、近親の定基の家には、卑しい身分の一艶婦のために
冷雨悲風が起って、其若い妻が泣きの涙でいるということを知っては、其儘に他所の事だ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
した悲叫は、左膳か、それとも栄三郎か?
本所鈴川の化物屋敷が刀影下に没して、
冷雨のなかを白刃|相搏《あいう》つ血戦の場と化しさったころ。
ここ瓦町の露地《....
「端午節」より 著者:井上紅梅
て歩き出した。習慣法に拠れば、これは討論中止の宣告を表示したものである。 凄風
冷雨のこの一日が来てから、教員等は政府に未払月給を請求したので、新華門前の泥々の....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
云えば変ですなあ」 こう云ったのは総髪物々しく、被布を着た一人の易者であった。
冷雨がにわかに降り出したので、そこの仕舞家の軒の下に、五人は雨宿りをしたものと見....
「光は影を」より 著者:岸田国士
夜と昼との落し子 恩恵の重荷に堪うるもの ただ奉仕の鎖 威圧は熱風と吹き 沈黙は
冷雨と注ぎ ひそかに忍びよる功利の波は 巧まざる迎合の磯に打ち寄せ みよ、強いら....
「荘子」より 著者:岡本かの子
庭を通して互いの部屋は見透さぬようになっていた。窓々には灯がともり柳の糸が蕭条と
冷雨のように垂れ注いでいた。 二人が侍女を対手に酒を呑み出して居るところへ「蠅....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
なく、ただうなずく。 二部将に引かれて、彼らは、味方にもそっと自陣を離れ、暗い
冷雨に打たれながら、木津の川べりを北へ走った。 人もない部落がある。有市の部落....