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凄
「凄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
。――その上へ家がつぶれました。それがほんの一二分の間の事で、まるで大風のような
凄《すさ》まじい地鳴りが襲いかかったと思いますと、たちまちめきめきと家が傾《かし....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
年の頃はかれこれ三十にも近うございましょうか、色の黒い、眼のつり上った、いかにも
凄じい面《つら》がまえで、着ているものこそ、よれよれになった墨染の法衣《ころも》....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
また空に黒い煙や白い蒸気の立っていたりするのは戦慄《せんりつ》に価《あたい》する
凄《すさま》じさである。保吉は麦藁帽《むぎわらぼう》の庇《ひさし》の下にこう云う....
「じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
祈祷の声と共に、彼の頭上の天には、一団の油雲《あぶらぐも》が湧き出でて、ほどなく
凄じい大雷雨が、沛然《はいぜん》として刑場へ降り注いだ。再び天が晴れた時、磔柱の....
「影」より 著者:芥川竜之介
が早いか、気違いのように椅子から立ち上った。彼の顔には、――血走った眼の中には、
凄まじい殺意が閃《ひらめ》いていた。が、相手の姿を一目見るとその殺意は見る見る内....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
。』三浦がこう語り終った時、丁度向う河岸《がし》の並倉《なみぐら》の上には、もの
凄いように赤い十六夜《じゅうろくや》の月が、始めて大きく上り始めました。私はさっ....
「古千屋」より 著者:芥川竜之介
れはまた左右の男女《なんにょ》たちの力もほとんど抑えることの出来ないものだった。
凄《すさま》じい古千屋の叫び声はもちろん、彼等の彼女を引据えようとする騒ぎも一か....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
と何かを考えようとした。が、何を考えるのだか、彼自身にもはっきりしなかった。ただ
凄まじい雨の音が、見えない屋根の空を満している、――それだけが頭に拡がっていた。....
「白」より 著者:芥川竜之介
そうとしました。けれどもそれは言葉通り、ほんの一瞬の間《あいだ》のことです。白は
凄《すさま》じい唸《うな》り声を洩《も》らすと、きりりとまた振り返りました。
「....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
れた石のように、勢いよくそこを飛び越えようとした。が、今度はとうとう飛び損じて、
凄《すさま》じい水煙を立てながら、まっさかさまに深みへ落ちこんでしまった。
彼....
「少年」より 著者:芥川竜之介
かたは勇敢にじりじり敵陣へ肉薄《にくはく》した。もっとも敵の地雷火《じらいか》は
凄《すさ》まじい火柱《ひばしら》をあげるが早いか、味かたの少将を粉微塵《こなみじ....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
った。
何時間かの後《のち》、この歩兵陣地の上には、もう彼我《ひが》の砲弾が、
凄《すさ》まじい唸《うな》りを飛ばせていた。目の前に聳えた松樹山の山腹にも、李家....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ほく》の「論詩」の七絶はこの間の消息を伝えたものであろう。芸術は妙に底の知れない
凄《すご》みを帯びているものである。我我も金を欲しがらなければ、又名聞を好まなけ....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
変る時には、この島の土人の女どころか、南蛮北狄《なんばんほくてき》の女のように、
凄《すさ》まじい顔がはやるかも知れぬ。」
「まさかそんな事もありますまい。我国ぶ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
せば詞窮して担いかけし障子|襖を其所へ捨て逃げ去りしなりというに、東京という所の
凄じさ、白昼といい人家稠密といい、人々見合う中にて人の物を掠め去らんとする者あり....