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凄じい
「凄じい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凄じいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
年の頃はかれこれ三十にも近うございましょうか、色の黒い、眼のつり上った、いかにも
凄じい面《つら》がまえで、着ているものこそ、よれよれになった墨染の法衣《ころも》....
「じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
祈祷の声と共に、彼の頭上の天には、一団の油雲《あぶらぐも》が湧き出でて、ほどなく
凄じい大雷雨が、沛然《はいぜん》として刑場へ降り注いだ。再び天が晴れた時、磔柱の....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
《あし》が、白楊《ポプラア》が、無花果《いちじゅく》が、自然それ自身を見るような
凄じい勢いで生きている。………
「傑作です。」
私は記者の顔をまともに見つめな....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
いてから、一度眼の上までさし上げて置いて、力の限り向うへ抛《ほう》り投げた。岩は
凄じい地響きをさせながら、見物の若者たちの近くへ落ちて、銀粉のような砂煙を揚げた....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
通らっしゃれ。」と、力のない、鼻へ抜けた、お島婆さんの声が聞えました。そこな人も
凄じい。お敏を隠した発頭人。まずこいつをとっちめて、――と云う権幕でしたから、新....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
何が大丈夫だか、主税には唐突で、即座には合点しかねるばかり、お蔦の方の意気込が
凄じい。 まだ、取留めた話ではなし、ただ学校で見初めた、と厭らしく云う。それも....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
い耳の左右に動くのを、黒髪で捌いた、女顔の木菟の、紅い嘴で笑うのが、見えるようで
凄じい。その顔が月に化けたのではない。ごらんなさいましという、言葉が道をつけて、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
、とそれに気が着いて、台所へ出ましたっけ。 (お客様あ、) (何だい。) (昨夜
凄じい音がしたと言わしっけね、何にも落こちたものはねえね。) って言いながら、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
勢だ、と言うだろう。――何を!……按摩の分際で、宗家の、宗の字、この道の、本山が
凄じい。 こう、按摩さん、舞台の差は堪忍してくんな。」 と、竊と痛そうに胸を....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
い御縁とおあきらめ下さい、か何かでさ。」 「その法学士の方をだな、――無い御縁が
凄じいや、てめえが勝手に人の縁を、頤にしゃぼん玉の泡沫を塗って、鼻の下を伸ばしな....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
ある秋の半ば、夕より、大雷雨のあとが暴風雨になった、夜の四つ時十時過ぎと思う頃、
凄じい電光の中を、蜩が鳴くような、うらさみしい、冴えた、透る、女の声で、キイキイ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
と鳴って、壁が揺れた。雪見を喜ぶ都会人でも、あの屋根を辷る、軒しずれの雪の音は、
凄じいのを知って驚く……春の雨だが、ざんざ降りの、夜ふけの忍駒だったから、かぶさ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
の方さえ都合が好ければ、好いと思っているのだな」 閻魔大王は森羅殿も崩れる程、
凄じい声で喚きました。 「打て。鬼ども。その二匹の畜生を、肉も骨も打ち砕いてしま....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
まるでそれが永久に成功しない事でも祈るような冷酷な眼で眺めていた。すると間もなく
凄じい音をはためかせて、汽車が隧道へなだれこむと同時に、小娘の開けようとした硝子....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
「おっと船中にてさようなことを、」と鳥打はつむりを縮めて、 「や!」 響くは
凄じい水の音、神川橋の下を潜って水門を抜けて矢を射るごとく海に注ぐ流の声なり。 ....