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凌ぎ
「凌ぎ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凌ぎの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
いう事が、非常にわれらを気強く思わせる。よし河の水が増して来たところで、どうにか
凌ぎのつかぬ事は無かろうなどと考えつつ、懊悩の頭も大いに軽くなった。 平和に渇....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
べき表現の手段を持ってはいないが、その感激は往々にして所謂芸術家なるものを遙かに
凌ぎ越えている。小児――彼は何という驚くべき芸術家だろう。彼の心には習慣の痂が固....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
して、じっと水を瞻るのが見えた。例の紺の筒袖に、尻からすぽんと巻いた前垂で、雪の
凌ぎに鳥打帽を被ったのは、いやしくも料理番が水中の鯉を覗くとは見えない。大きな鷭....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
な事でござりまして、ちょっと戸外へ出て御覧じませ。鼻も耳も吹切られそうで、何とも
凌ぎ切れませんではござりますまいか。 三右衛門なども、鼻の尖を真赤に致して、え....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
二月二十九日(日) ◯痰常体なり。昨夜のは歯から出たものと分る。 ◯温さのこりて
凌ぎよし、晴れて来る。 ◯日曜なれば、暮も静かなり。川柳を繙くうちに昼となる。子....
「河明り」より 著者:岡本かの子
ゃってね。早速、ホテルと君の事務所へ電話をかけてみたが、出ているというので、退屈
凌ぎにここへ昼寝する積りで来てたんだが……」ひょっとするとここへ廻るかも知れない....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
り廻し、天井は天井で消毒剤が一面に撒いてあるのだった。マスクのない代りに、一時|
凌ぎの瓦斯避難室を作ったわけだ。マスクの主人は、とりもなおさず一家の警戒係をつと....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
、(鳥居さえ飛ぶ癖に)階子段で息が切れた。若旦那、お久しゅう。てれかくしと、寒さ
凌ぎに夜なしおでんで引掛けて来たけれど、おお寒い。」と穴から渡すように、丼をのせ....
「取舵」より 著者:泉鏡花
声に気を奮い、やにわに艪をば立直して、曳々声を揚げて盪しければ、船は難無く風波を
凌ぎて、今は我物なり、大権現の冥護はあるぞ、と船子はたちまち力を得て、ここを先途....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
説は、写本に成って家に伝わっていた。 竜次郎は其捕縄に就いても興味を持ち、退屈
凌ぎに写本は残らず読んで、それから益々研究心を起こして、実地をお鉄に就いて学んだ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
の松並木の中にも、形の丈の最も勝れた松が二株あって、海に寄ったのは亭々として雲を
凌ぎ、町へ寄ったは拮蟠して、枝を低く、彼処に湧出づる清水に翳す。…… そこに、....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
だって紳士方の腹こなしや、貴婦人とかいう媽々天下の反返りだの、華族の後家の退屈|
凌ぎなんか弟子には取らない。また取れようもないわけなんだ。能役者が謡の弟子を取る....
「影」より 著者:岡本綺堂
肩をすくめる。)まったく寒くなりましたね。 重兵衛 (酒を把る。)どうです、寒さ
凌ぎに……。 旅人 いや、わたしは……。(頭をふる。)あなた、みんな飲んでくだ....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
。ただ一人実家の老僕の七兵衛だけがときどき食べものを運んで来た。慧鶴はそれで饑を
凌ぎながら胆太く自分と富士の運命を見届けにかかった。七兵衛の話では、この先どうな....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
れをまず仏教の第一の心得としてあります。そして人間の心には、人世のあらゆることを
凌ぎかつ無限に向上せしめて行く力があることを信じます。これが仏教の第一歩で、心を....