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凍
「凍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
爺《おじ》は、この問答を聞くと、ある予期と恐怖とに襲われて、からだじゅうが一時に
凍るような心もちがした。そうして、また大きな声でうなった。平六と同じような理由で....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
彼等は二人とも笑いながら、気軽にこの家の前を通って行った。そのあとには唯《ただ》
凍《い》て切った道に彼等のどちらかが捨てて行った「ゴルデン・バット」の吸い殻が一....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
? 歩いて行きたいと思いながら、歩いて行かないのは意気地《いくじ》なしばかりだ。
凍死《とうし》しても何《なん》でも歩いて見ろ。……」
彼は突然|口調《くちょう....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
々《いきいき》しさも消えてしまって、ただ、悲しい心もちばかりが、たちまち私の心を
凍らせてしまう。私は夫のために死ぬのではない。私は私のために死のうとする。私の心....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
の家の明りだか、汽車の煙突から出る火花だか判然しない。その中でただ、窓をたたく、
凍りかかった雨の音が、騒々しい車輪の音に単調な響を交している。
本間さんは、一....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
《きずあと》にでも触《ふ》れられたような、腹立たしい悲しみを与えたのだった。彼は
凍《こご》えついた交通路を、獣《けもの》のように這い続けながら、戦争と云う事を考....
「或る女」より 著者:有島武郎
知らせる悪い辻占《つじうら》かもしれない。またそう思うと葉子は襟元《えりもと》に
凍った針でも刺されるように、ぞくぞくとわけのわからない身ぶるいをした。いったい自....
「或る女」より 著者:有島武郎
さをしみじみと思い知った。死もしくは死の隣へまでの不思議な冒険……そう思うと血は
凍るかと疑われた。
「ふたーつ」
葉子の声はますます震えた。こうして数を読んで....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
とすまいと注意しながら、顔には木彫のような深い落ち付きを見せている。君の兄上は、
凍って自由にならない手のひらを腰のあたりの荒布にこすりつけて熱を呼び起こしながら....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
会主義論をしたのはこの時だけである。(彼はそれから何か月もたたずに天城山の雪中に
凍死してしまった)しかし僕は社会主義論よりも彼の獄中生活などに興味を持たずにはい....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
永久の春はやみ、ジュピターによって四季が作られた。人間は夏の焼くような暑さ、冬の
凍てつく寒さを防ぐために隠れ家を求めることが必要となった。土地の天然の収穫で満足....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
あたたかいへやのなかにおいた。ほっこりとすみれが花をひらいているわきで、わたしは
凍った窓ガラスに火であつくした銅貨をおしつけて、すきみの穴をこしらえたものだ。あ....
「狂女」より 著者:秋田滋
町にも普魯西の兵隊が攻めて来た。 僕はそれを昨日のことのように覚えている。石が
凍って割れるような寒い日のことだった。痛風がおきて僕自身も身動きが出来なかったの....
「初雪」より 著者:秋田滋
いない。 十二月のこえを聞く頃になると、雪が降って来た。その頃になると、彼女は
凍ったように冷たい屋敷の空気がいよいよ辛くなって来た。人間は齢を重ねるにつれてそ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
の路を取りまいているのを見て、なんどもなんども彼はぞっとしたものだ。自分の足音が
凍った地面に鳴る音にびくびくして、いくたびもからだをちぢこまらせた。そして、うし....