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凝
「凝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凝の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
葺《ひわだぶき》の屋根の向こうに、むらがっているひでり雲《ぐも》も、さっきから、
凝然と、金銀銅鉄を熔《と》かしたまま、小ゆるぎをするけしきはない。まして、両側に....
「伝吉の敵打ち」より 著者:芥川竜之介
。(註四)伝吉は下男部屋に起臥《きが》しながら仇打《あだう》ちの工夫《くふう》を
凝《こ》らしつづけた。この仇打の工夫についても、諸説のいずれが正しいかはしばらく....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
房《げんかくさんぼう》」の額や塀越しに見える庭木などはどの家よりも数奇《すき》を
凝らしていた。
この家の主人、堀越玄鶴は画家としても多少は知られていた。しかし....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ると、妙な顔をして流しへ痰《たん》を吐いた。
「貴公は相変らず発句《ほっく》にお
凝りかね。」
馬琴は巧《たく》みに話頭を転換した。がこれは何も眇の表情を気にし....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
いない時に、鏡へ向って、いろいろな角度から顔を映しながら、熱心に工夫《くふう》を
凝《こ》らして見た。どうかすると、顔の位置を換えるだけでは、安心が出来なくなって....
「影」より 著者:芥川竜之介
―いや、しかし怪しい何物かは、眩《まぶ》しい電燈の光にも恐れず、寸刻もたゆまない
凝視の眼を房子の顔に注いでいる。彼女は両手に顔を隠すが早いか、無我夢中に叫ぼうと....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
かった。彼はその祭壇の後《うしろ》に、じっと頭を垂れたまま、熱心にこう云う祈祷を
凝らした。
「南無《なむ》大慈大悲の泥烏須如来《デウスにょらい》! 私《わたくし....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
《きんむくじ》に、剣梅鉢《けんうめばち》の紋《もん》ぢらしと云う、数寄《すき》を
凝《こ》らした煙管《きせる》である。
前田家は、幕府の制度によると、五世《ごせ....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
ようのない波動を与えたからである。私は悚然《しょうぜん》として再びこの沼地の画を
凝視《ぎょうし》した。そうして再びこの小さなカンヴァスの中に、恐しい焦躁《しょう....
「女体」より 著者:芥川竜之介
ているが、そこを除いては、山一円、どこを見ても白くない所はない。その白さがまた、
凝脂《ぎょうし》のような柔らかみのある、滑《なめらか》な色の白さで、山腹のなだら....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
《いちじく》のかげに、大きい三日月《みかづき》を仰ぎながら、しばしば熱心に祈祷を
凝《こ》らした。この垂れ髪の童女の祈祷は、こう云う簡単なものなのである。
「憐み....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
るのである。
海の水は、たとえば碧玉《ジャスパア》の色のようにあまりに重く緑を
凝らしている。といって潮の満干《みちひ》を全く感じない上流の川の水は、言わばエメ....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
る。」
阿闍梨《あざり》は、身を稍後《ややあと》へすべらせながら眸《ひとみ》を
凝《こ》らして、じっとその翁を見た。翁は経机《きょうづくえ》の向うに白の水干《す....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
寞《せきばく》に聞き入ってでもいるかのごとく、雲母《きらら》よりもまぶしい水面を
凝然《ぎょうぜん》と平《たいら》に張りつめている。樗牛の吐息はこんな瞬間に、はじ....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
」 僕は給仕の退いた後、牛乳を入れない珈琲を飲み、前の小説を仕上げにかかった。
凝灰岩を四角に組んだ窓は雪のある庭に向っていた。僕はペンを休める度にぼんやりとこ....