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「凝し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

凝しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
島原の乱」より 著者:菊池寛
が、宗徒等は此処に秘密のアジトを置き、天草島原の両地方の人々が来り会して、策謀を凝した。後世談合島と称される所以である。 島原の南有馬村庄屋治右衛門の弟に角蔵....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
に眼を落とした。直ぐその傍には証拠物件が堆高く重ねてあった。小塚氏はじっと考えを凝した。 窓外では恰度この時春光を浴びながら、透き通るようなうすものゝショール....
風流仏」より 著者:幸田露伴
、中々賎まるべき者にあらず、西洋にては声なき詩の色あるを絵と云い、景なき絵の魂|凝しを彫像と云う程|尊む技を為す吾、ミチエルアンジロにもやはか劣るべき、仮令令嬢....
天守物語」より 著者:泉鏡花
ん。しかし、武田には大切な道具。――貴方、見覚えがありますか。 図書 (疑の目を凝しつつあり)まさかとは存ずるなり、私とても年に一度、虫干の外には拝しませぬが、....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
それに応じての私の身を置くに適当な何かを以て飾り立て、ぼろぎれを張り廻し、工夫を凝して心もちよく住んで見せるだけの自信はあると思っている。要するに乞食性だといえ....
死者の書」より 著者:折口信夫
、華奢な服装を趣向むまでに到って居なかった頃、姫の若い父は、近代の時世装に思いを凝して居た。その家に覲ねて来る古い留学生や、新来の帰化僧などに尋ねることも、張文....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
くりとある蒲団に、あたかもその雲に乗ったるがごとく、菫の中から抜けたような、装を凝した貴夫人一人。さも旅疲の状見えて、鼠地の縮緬に、麻の葉|鹿の子の下着の端、媚....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
併しこの歌は、富士山の歌ほどに優れたものではない。巻七(一三三二)に、「磐が根の凝しき山に入り初めて山なつかしみ出でがてぬかも」という歌があり、これは寄山歌だか....
外務大臣の死」より 著者:小酒井不木
電である。三十秒! 一分! 依然として電燈はつかなかった。音楽は止んで人々は息を凝した。その時、ホールの一隅にパッと一団の火が燃えてドンという音がした。ヒューと....
わが童心」より 著者:佐藤垢石
くると、田端の高台の一番高いところにある大根畑の傍らに佇んで、西北の遠い空を望み凝した。 それは、赤城と榛名の姿を探し求めたのである。しかしながら、わが求むる....
黄八丈の小袖」より 著者:岡本綺堂
を吹き込んだ。三人が暗い所に時々寄集って、何とかして又四郎を追い出したいと相談を凝したが、律義一方の婿の上から何かの落度を見付け出すということは頗る困難であった....
血の盃」より 著者:小酒井不木
にひざまずいて、拍手をしながら、何事かを祈念して居るのであった。 暫らく祈念を凝してからやがて、あさ子は立ち上った。彼女は両手を前に差出しながら手さぐりで歩い....
好色破邪顕正」より 著者:小酒井不木
の、「実は」をきくごとにぎくりとさせられたので、こんどは何を言い出すのかと、息を凝した。 「今朝四時少し前のことです。一人の年若い女が御器所の方から跣足で歩いて....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
べた、押絵の有名な額がある。――いま天守を叙した、その城の奥々の婦人たちが丹誠を凝した細工である。 万亭応賀の作、豊国|画。錦重堂板の草双紙、――その頃江戸で....
三枚続」より 著者:泉鏡花
あの、母様。」 黙って返事がないから、 「寐なすったよ。」 眼を※って呼吸を凝した、愛吉は吻とばかり、 「可い塩梅、確ですか。」とそッという。 「始終すやす....