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凝らす
「凝らす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凝らすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「竜」より 著者:芥川竜之介
にく》予はこれと云うて、筆にするほどの話も知らぬ。さりながらあだ面倒な趣向などを
凝らすのも、予のような怠けものには、何より億劫千万《おっくうせんばん》じゃ。つい....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
この役目を勤めるものは彼のほかにない。彼も今度の不覚を恥じて、定めて懸命の秘法を
凝らすに相違あるまいと考えられるから、枉《ま》げてもう一度、彼の願意を聴きとどけ....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
てて、今まで打ち過ぎしは何たることじゃ。 五郎 多寡が面一つの細工、いかに丹精を
凝らすとも、百日とは費すまい。お細工仰せつけられしは当春の初め、その後すでに半年....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
現われ出たのだった。その瞬間、闇の彼方にレヴェズの烱々たる眼光が現われ、彼が喘ぎ
凝らす、野獣のような息吹が聴えてきた――と思われたのは、彼等の彩塵が描き出した幻....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
すがれた美人の衰えを見るように哀れであった。其外にも如何なる貴女紳士の春の粧いを
凝らすの料ともなるべき粧飾品や化粧品が焦げたり泥塗れになったり破れたりしてそこら....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
フに面している。かのロダンの大理石塊を前にしてまさに鑿を揮わんとして息を屏め目を
凝らすがごとくに、ベルグソンは与えられたる「人性」を最高の傑作たらしめんがために....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
まにきゃしゃなたちやな、あんまり勉強すると肩が凝るやろといいました、私は全く肩を
凝らす性分なのですから、はあ、と答えると、わしがちょっと揉んでやろというのです、....
「青草」より 著者:十一谷義三郎
の白い皮膚の上に、もろもろとした斑点を写しているので見分けにくいが、じいっと眸を
凝らすと、大きな蜘蛛が、脚をいっぱいに伸して、奇怪な文身か何かのように、兄の頬に....
「椿の花の赤」より 著者:豊島与志雄
…。」 あとから李が叫んで駆け寄った。そして五人いっしょに立並んで、じっと瞳を
凝らすと、まさしくそれは大きな裸の人形で、俯向きに草のなかに放りだしてあり、頭の....
「探偵小説とは」より 著者:坂口安吾
将棋よりも軽快で複雑なゲームの妙味があるからである。藤沢桓夫氏など詰将棋に工夫を
凝らすぐらいなら、大いに推理小説に工夫を凝らして貰いたいと私は思う。 ....
「秘密の庭」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
違ったものであった。ヴァランタンは、抜身を取上げて、検べてみて、冷静に何か思いを
凝らす様であった。それから彼はオブリアンの方へ叮嚀に顔を向けた、「司令官、君はこ....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
情を漂わせていた。 しかし、息をあえいで太腿を改め、凍りついた、腐肉の上に瞳を
凝らすと、やはりそこにはグレプニツキーの言うがごとく、EL DORADO RA ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
象牙で真ッ白になってしまいました。そうして外人の嗜好に一層投じようと、種々工夫を
凝らすため、したがって大作と称するものが出来、七、八寸から一尺位象牙の木地一杯に....
「かもじの美術家」より 著者:神西清
なのであった。 リュボーフィ・オニーシモヴナの言うところによると、「顔に趣向を
凝らす」ことにかけては、彼の右に出るものは誰一人なかった。 一体どのカミョンス....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
杭のようにかたくなって、ただ、しい、しい、静にとばかり。おのおの青くなって、息を
凝らすうちに――「かの白き手、舳をはなし、水中に消入りぬ。」…… 潮に乗って船....