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几帳
「几帳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
几帳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
一
小野《おの》の小町《こまち》、
几帳《きちょう》の陰に草紙《そうし》を読んでいる。そこへ突然|黄泉《よみ》の使《....
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
壊せるように出来ていると云う。その左右へは、新しい三色緞子《さんしょくどんす》の
几帳《きちょう》が下っている。後《うしろ》は、金屏風《きんびょうぶ》をたてまわし....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
をむすびながら、明《あかる》く螺鈿《らでん》の経机を照らしている。耳にはいるのは
几帳《きちょう》の向うに横になっている和泉式部《いずみしきぶ》の寝息であろう。春....
「星座」より 著者:有島武郎
ポッケットの中から、机の抽出しから、手帳の間から、札びらや銀貨を取りだした。あの
几帳面《きちょうめん》に見える園には不思議な現象だと人見の思うのはこのことだけだ....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
正月だ。何はなくとも、また前途に何があろうとも、今夜ばかりは。 ◯江戸川乱歩氏は
几帳面に一号館書房の印税割あてを送って来て下さる。二千八百二十六円也。これ本年初....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
唄をききつつ低徊し、天井を仰ぎ、廻廊を窺い、やがて燈の影を視て、やや驚く。ついで
几帳を認む。彼が入るべき方に
几帳を立つ。図書は躊躇の後決然として進む。瞳を定めて....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
て、その成立を承認した。フランケと魚戸は、真中まで出て、軽く頭を下げた。まことに
几帳面なことである。 「では早速ですが、私は団長として、皆さんにお伺いしますが、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
った妖艶いのが、突きはせず、手鞠を袖に抱いたまま、すらすらと出て、卵塔場を隔てた
几帳窓の前を通る、と見ると、もう誰の蔭になったか人数に紛れてしまった。それだ、こ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
こそなつかしけれ、鬼と呼ぶさえ、分けてこの凄じきを、雄々しきは打笑い、さらぬは袖
几帳したまうらむ。富山の町の花売は、山賤の類にあらず、あわれに美しき女なり。その....
「『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
田舎のかよひも思ひがけねば、いと心|細けれ、北殿こそ聞き給へや」とあるには、半蔀
几帳の屋内より出でて、忽ち築地、透垣の外を瞥見する心地する。華かな王朝という織物....
「彼の長所十八」より 著者:芥川竜之介
一、語学の英露独など出来る事。但どの位よく出来るか知らず。 二、
几帳面なる事。手紙を出せば必ず返事をくれるが如き。 三、家庭を愛する事。殊に母....
「恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
的なるよりも一層規則的に見えしなるべし。僕は恒藤の親友なりしかど、到底彼の如くに
几帳面なる事能わず、人並みに寝坊をし、人並みに夜更かしをし、凡庸に日を送るを常と....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
つつ一目見たのは、頭禿に歯豁なるものではなく、日の光|射す紫のかげを籠めた俤は、
几帳に宿る月の影、雲の鬢、簪の星、丹花の唇、芙蓉の眦、柳の腰を草に縋って、鼓草の....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
らわなければ物騒で、一日として安心してはいられないからでもあった。 ところで、
几帳面に、雪空にも拘らず出張して来た弁護士が、二人の事務員を使って、せっせと書き....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の、裏なき錦の帳はあれど、蔽われ果てず夕舂日、光|颯と射したれば、お夏は翳した袖
几帳。 「ちょうど、ぱらぱらと散って来るのが、その夕日を除けた、袂へ留まったので....