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凡そ
「凡そ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凡その前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
や否や、きらきらと白刃《しらは》を月に輝かせて、盗人と覚しい覆面の男が、左右から
凡そ六七人、若殿様の車を目がけて、猛々《たけだけ》しく襲いかかりました。
と同....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
ら、大地震の時は弱ったぞ――啄んで、嘴で、仔の口へ、押込み揉込むようにするのが、
凡そ堪らないと言った形で、頬摺りをするように見える。 怪しからず、親に苦労を掛....
「星あかり」より 著者:泉鏡花
けられて、小さく、堅くなつて、おどおどして、その癖、駆け出そうとする勇気はなく、
凡そ人間の歩行に、ありッたけの遅さで、汗になりながら、人家のある処をすり抜けて、....
「春昼」より 著者:泉鏡花
見る、それさえ不意な上、胴体は唯一ツでない。鬣に鬣が繋がって、胴に胴が重なって、
凡そ五、六|間があいだ獣の背である。 咄嗟の間、散策子は杖をついて立窘んだ。 ....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
ュヂオやアート・ヂャーナルの増刊やマイステル・デア・ファーベや其他各種の美術書は
凡そ一千部以上も焼燼した。こんなものは註文すればイクラでも得られる、焼いても惜し....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
ものが流行って、蔵前の八幡の境内に、大人形といって、海女の立姿の興行物があった。
凡そ十丈もあろうかと思うほどの、裸体の人形で、腰には赤の唐縮緬の腰巻をさして下か....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
したのでござんすえ。」 「何、樵夫に聞くまでもないです。私に心覚が丁とある。先ず
凡そ山の中を二日も三日も歩行かなけれゃならないですな。 尤も上りは大抵どのくら....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
り岩屋の内外の模様を知ることができました。岩屋は可なり巨きなもので、高さと幅さは
凡そ三四|間、奥行は十|間余りもございましょうか。そして中央の所がちょっと折れ曲....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
ただその欲望を満足せしむべき機関がない。そこが彼等の大いに煩悶焦慮する点である。
凡そ世に充たされざる渇望ほどつらいものはない。で、彼等は何とかしてこの苦痛を医す....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
、勢よく左右に振ったと思うと、忽ち心を躍らすばかり暖な日の色に染まっている蜜柑が
凡そ五つ六つ、汽車を見送った子供たちの上へばらばらと空から降って来た。私は思わず....
「多神教」より 著者:泉鏡花
御苦労ね。 巫女 我折れ、お早い事でござりましたの。 丁々坊 瞬く間というは、
凡そこれでござるな。何が、芝居は、大山一つ、柿の実ったような見物でござる。此奴、....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
ざりしかども、彼が日本人に信ぜられたるその信用を利用して利を謀るに抜目なかりしは
凡そこの類なり。 単に公使のみならず仏国の訳官にメルメデ・カションという者あり....
「一寸怪」より 著者:泉鏡花
、ひゃあ、と飛ついて消す間に、梁へ炎が絡む、ソレ、と云う内羽目板から火を吐出す、
凡そ七日ばかりの間、昼夜|詰切りで寐る事も出来ぬ。ところが、此寺の門前に一軒、婆....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
たく、溺死の難なしというべからず、是に寄りて西入船町を限り、東吉祥寺前に至るまで
凡そ長さ二百八十間余の所、家居取払い空地となし置くものなり。 と記して傍に、寛....
「芸術三昧即信仰」より 著者:上村松園
ざめまで待っているから」と言って、やがて起き出られた禅師をお待ちしました。そして
凡そ二時間余り別にこれと言ってなやみを打ち明けるでもなく禅師の法話をお聴きしてい....