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凡て
「凡て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
凡ての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
のだ。私はこの生命を私の思うように生きることが出来るのだ。私の唯一の所有よ。私は
凡ての懐疑にかかわらず、結局それを尊重|愛撫しないでいられようか。涙にまで私は自....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
二人の警部が十数人の巡査を連れて来船した。自分等は其の厳しい監視の下に、一人々々
凡て危険と目ざされる道具を船に残して、大運搬船に乘り込ませられたのであった。上げ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
て、急に深淵のような深い静かさが心を襲った。クララは明かな意識の中にありながら、
凡てのものが夢のように見る見る彼女から離れて行くのを感じた。無一物な清浄な世界に....
「『聖書』の権威」より 著者:有島武郎
は如何に強烈な権威を以て私を感動させましたろう。聖書を隅から隅にまですがりついて
凡ての誘惑に対する唯一の武器とも鞭撻とも頼んだその頃を思いやると立脚の危さに肉が....
「北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
活にも或る華やかさがついてまわっている。けれども北海道の冬となると徹底的に冬だ。
凡ての生命が不可能の少し手前まで追いこめられる程の冬だ。それが春に変ると一時に春....
「性急な思想」より 著者:石川啄木
の道徳は必然服従せねばならぬものでない以上、凡《すべ》ての夫が妻ならぬ女に通じ、
凡ての妻が夫ならぬ男に通じても可いものとし、乃至《ないし》は、そうしない夫と妻と....
「猫と色の嗜好」より 著者:石田孫太郎
甚だ遅かった、又或猫は赤にも白にも青にも何の感興を起さなかったように見えたから、
凡ての猫は必ず赤色を愛するものであるとは言えまいが、実験は甚だ少数なれども、我輩....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
り、一尾|舷に飛んで、鱗の色、あたかも雪。 ==篇中の妖婆の言葉(がぎぐげご)は
凡て、半濁音にてお読み取り下されたく候== 明治三十八(一九〇五)年十二月....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
人は知らないのだ。人は見ないのだ。見ても見ない振をしているんだから、決して人間の
凡てを貴いとは言わない、美いとは言わない。ただ陸は貴い。けれども、我が海は、この....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
のお夏を健在、と思っての事であった。」 いいかけて寂しく笑った、要するに記者の
凡ての言は、お夏に対する狂熱の勃発したものであったのである。 「それがどうです。....
「一寸怪」より 著者:泉鏡花
で叩いている音の様に聞えると言います。 これで思出したが、この魔のやることは、
凡て、笑声にしても、唯一人で笑うのではなく、アハハハハハと恰も数百人の笑うかの如....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
し、かつまた異端を排斥する正気があった。たとえば尼、偽毛唐の類。――彼の学説では
凡ての尼は和尚と私通している。女が外へ出れば必ず男を誘惑しようと思う。男と女と話....
「明日」より 著者:井上紅梅
非常に大きくなっていた。あたりの模様を見ると実に不思議のことである。あったことの
凡てがあったこととは思えない。どう考えてみても夢としか思えない。
凡てが皆夢だ。あ....
「故郷」より 著者:井上紅梅
続くし、税金は重なるし、土匪や兵隊が乱暴するし、官吏や地主がのしかかって来るし、
凡ての苦しみは彼をして一つの木偶とならしめた。「要らないものは何でも彼にやるがい....
「「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
のは、それから先きのことである。初めはそのわけが解らなかったが後になって思うと、
凡て一人の主張は、賛成を得れば前進を促し、反対を得れば奮闘を促す、ところが爰に生....